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クリエイティブ分野で大活躍する「集合知」とは何か?

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以前読んだ「失敗の科学」という書籍が義務教育で教えるべきレベルでためになったので、同著者が書いた「多様性の科学」という書籍も読んでみました。

こちらの書籍も前著と同じくらい大切なことが書かれているなと思いました(^^)

内容を簡単にまとめると‥
・イエスマン、類友ばかりでチームを組むのは失敗のもと
・異なる意見や異なる境遇を持った人々でチームを組めば、最強の集合知になる
・超優秀なひとが1人より、考えの異なった優秀な人が10人いる方が強い
・優秀さより「社交性」「素直さ」が大事
このようなことが実例付きで紹介されています。

特に、おもしろかったエピソードをネタバレありで書いていきます。

こんな人にオススメの書籍

・クリエイター
・複雑な問題解決をしたい人
・チームプレイと個人プレイのメリット、デメリットを知りたい人

この記事で紹介すること

・国が違うだけでもモノの見方が異なる不思議
・超一流と多様性は両立するのか?
・画一的(かくいつてき)と多様性のメリット、デメリット
・反論意見の重要性
・多様な考えはクリエイティブ分野でも大活躍する?
・頭が切れるより、社交的&素直になった方がいい理由とは?

超長いので、時間があるとき&気になる部分だけを読むのを推奨します。

目次

国が違うだけでもモノの見方が異なる不思議(多様なチームの重要性)

書籍で、ある実験が紹介されていました。

・2つのグループを作る
・グループ①は日本人のみ、グループ②はアメリカ人のみ
・両グループに水中の様子を描いたアニメーションを見てもらう
・その後に各被験者に何が印象に残っているかを答えてもらう

‥すると、
アメリカ人チーム:魚について語った、魚に関して細部まで詳細に覚えている様子だった
日本人チーム:背景について語った、水の流れ・水の色・石や貝や水草を詳細に覚えている様子だった

2つのグループはまるで別々のアニメーションを見ているかのようですね。
これには、それぞれの文化の違いが影響していると言われていました。

アメリカは個人社会の傾向が強く、日本はより相互依存的だ。
アメリカ人は手前や中心にある「もの」に重点を置き、日本人は「背景」に着目する傾向が見られた。
(中略)
人の物事のとらえ方には、ただものを見るという単純な行動にさえ、文化に基づく違いがあるという事実が明らかになった。

多様性の科学より

・アメリカ人→主張する
・日本人→空気を読む

どちらが良い悪いではなくて、アメリカ人グループのみ・日本人グループのみでチームを組んでしまうと、盲点が発生するということ。

どちらか片方だけなら、部分的なとらえ方になって見逃す要素が出てくる。
しかし両者が協力し合えば、ものも背景も認識できる
2つの部分的な枠組みを合わせれば、全体像を鮮やかにとらえられる。

多様性の科学より

イエスマンで構成されたチームの危険性がわかりますね

余談ですが‥
過去に読んだ書籍で、アメリカの元大統領エイブラハム・リンカーンは自分と「敵対」する優秀な人をあえて自分のチームに入れたと言われていました。
その方がより良い政策ができるからと(自分の盲点に気づく確率が上がるため)。

イエスマンだけを側近に置かないリンカーン氏はマジで凄いなと思いました。
自分と意見の異なる人を入れることで、より良い政策ができるメリットはありますが、チーム内で揉めるデメリットもありますよね(^^;)
日本の政治家たちも見習ってほしいものです‥。

おもしろい多様視点のメリット例:軍隊経験が がん専門医の手助けになる?

架空の話ですが‥書籍でおもしろい例が紹介されていました。

・あなたは医者で、胃に悪性腫瘍が見つかった患者の治療方針を考えている
・手術は不可だが、腫瘍を取り除かない限り患者は助からない
・一定の高濃度の放射線を一度に照射すれば、腫瘍は破壊できる
・しかし、途中にある正常組織も傷つけてしまう
・かといって照射量を下げてしまうと、正常組織は守られるが悪性腫瘍には効果がなくなる
正常組織を傷つけずに悪性腫瘍だけを破壊するには、どんな方法をとればいいか?

なかなか難しい問題ですね‥医療従事者じゃないですし(^^;)
ここで、悪性腫瘍の問題解決に役立つ「ある将軍の戦略」が紹介されています。

・国の中心部に、村や畑にぐるりと囲まれた砦(とりで)がある
・この砦を陥落させたい将軍
・田園風景の中、いくつもの道がその砦へと通じている
・しかし、それぞれの道には地雷が埋め込まれている
・人数が少ない小隊なら安全に通れるが、大軍が通れば地雷が爆発する仕組みになっている
・そこで将軍は軍隊を少人数部隊にわけて、それぞれの道に配置
・号令をかけると、みな一斉に砦に向かって、同時刻に到着
・みごと、砦を陥落させた

つまり先ほどの問題の答えは、悪性腫瘍を破壊するには「照射ノズルを10個にわけて10%ずつ一斉に放射線を照射する」。
違う視点から物事を考えれば、難題の解決につながることもある。
軍隊経験者が、がん専門医の手助けになることもあり得るということ。

似たような話で、経営者がまったく違う業種の工場作業を見学して、自社の新たなアイディアを思いつく例もあったよね

自身も2次創作イラストのネタで悩んでいるとき、歌の歌詞(2次創作とは関係がない)からヒントを得てイラストを描いたことがあります。
その絵は、小説を書かれている方に好評でした(^^)

どうしても解決できない問題に直面したとき、多くの人は「同種の」専門家に頼ろうとする。上記の悪性腫瘍なら、別のがん専門医に。
医学的な知識を一番持っているのは医者なのだから、そう考えて当然ですね。

しかしその医者たちが みな同じような背景を持ち、同じような訓練を受けていたとしたら(つまり みな同じような枠組みで物事を考えていたとしたら)、「盲点」も共通している可能性が高い。
その場合、ときには部外者の目を借りることも必要だ。

多様性の科学より

個人的には、医療は医学知識がない素人が行うと危険な分野なので、「医者が」部外者に聞き取り&検証するのが安全だと思います(^^;)

「超一流」と「多様性」は両立するのか?

・単純な問題→超一流だけでOK
・複雑な問題解決→多様性が欠かせない

書籍では、リレー選手とCIA(米国中央情報局)の失態の話がされていました。

たとえば‥
リレー競技で優勝を目指そうとする場合は、(単純にスピードを競うような競技の場合)足の速い選手のみでチームを作ればいい。
性別・肌の色・国の違いなどの多様性はいらない。
しかし、どこの誰が・どんな理由で起こすか分からないテロなど複雑な問題の対策には、多様な考えを持つ人たちが欠かせない。

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロを阻止できなかった原因はCIAにあるとされていました。
簡単にまとめると、
・あやしいイスラム人が米国内部で何度も通報されていたのに、証拠不十分で見逃した
・事件の主犯ウサーマ・ビン・ラーディンの姿、格好で油断した(こんな時代遅れの人間にテロなど起こせないだろうとCIAは判断)
・しかし、このビン・ラーディンの姿、格好はイメージ戦略(外見で相手を欺く作戦)でもあった
・現在の日本でも問題視されているカルト教団的な危険性を文化の違いから見抜けなかった
・過去に起こした事件の数々から、テロ兆候があったのに何度も見逃した

CIAのみなさんは、仕事をサボっていたのだろうか?
‥というとそうではなくて、職務に誇りを持っている人が多かったが似たような背景を持つ人々しかCIAにいなかったから盲点に気づけなかったという結論が書かれていました。
当時、CIAに選ばれていた方々は‥
・知性が高い(厳しいテスト試験に合格した人)
・精神状態も良い(精神鑑定の結果も良好)
・白人男性
・アングロサクソン系
・プロテスタント
・・という傾向が強かったそうです。

似た者ばかりが集められる原因は、採用担当者が、外見や考え方が自分と似た者を選ぶためとされています。
(※上記でも書いている超一流と多様性は両立しない‥という考えも当時はあったそうです)

あと、CIAは様々な無線を毎日何千~何万件と傍受(ぼうじゅ)しています。
なので、すべてに対処するには時間も金も足りないという問題がある(戯言のようなものも沢山あるそうです)。

チェックすべき会話だけを選別するのは、現実的に不可能というわけだね

そこでもし、サウジアラビア系の人がCIAにいたら、ビン・ラーディン氏の危険性に いち早く気付き、このテロ事件を回避できたかもしれないということ。
※他国の人間をチームに入れる場合、「スパイ」にも注意しなくてはならない

話が変わりますが‥
日本でも、的外れな政策をやっている政治家を見かけます。
大臣~首相あたりの政治家さんたちは大体‥
・有名大学出身
・親や親族が政治関係者
・若手がいない(平均60歳~70歳)
・お金持ち家系

上記をみるだけでも、一般庶民の生活とかけ離れているのが分かりますね(^^;)
国民がどういう問題を抱えてて、どういう政策が望ましいのか気づかないという盲点がある。
このチームの中に、
・20代~30代の若手を入れる
・高卒者を入れる
・政治に関係ない一般庶民を入れる
・・と、多様な人材を入れることで、より良い政策ができると予想されます。
たしかに、反論がたくさん出て揉めたり、物事を決めるスピードが遅くなるというデメリットもあると思いますが‥。

画一的(かくいつてき)と多様性のメリット・デメリットとは?

画一的(かくいつてき)とは、何もかも一様で、個性のないさま。

Weblioより

https://www.weblio.jp/content/%E7%94%BB%E4%B8%80%E7%9A%84

画一的は、イエスマン・類友などいろんな言葉に言い換えれますね(^^;)

<画一的のメリット>
・自分と似たような意見が多いので、自分の意見に自信が持てる
・ラクで楽しい、居心地がよい
・物事がすぐに決まる
・上述しているリレーのような競技や単純作業には向いているかも?

<画一的のデメリット>
・似たような人は盲点が一緒で、当人同士は気づかない
・適切な判断や完全に間違った判断にも自信を持つようになる(周りが同調するため)
・複雑な問題解決では、逆にパフォーマンスが下がる

多様性は、画一的のメリット・デメリットが真逆です。

・物事が全然決まらない→話し合いが長引くが、利点、欠点の両方を比べられる
・反論意見がいっぱい出る→盲点が指摘され、改善される
・自分の意見に自信が持てなくなる→過剰な自信で判断を下さなくなる

画一的な考えは、ティーンエージャー(10代の頃)の視野が狭くなる現象に似ているね

視野狭窄(しやきょうさく)、0か?100か?の話はこちらの書籍でも書かれていました↓

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人間はもともと画一的なので、多様性が重要だということに気づく必要がある

イギリスのコメディアン、ジョン・クリーズの言葉

「誰にでも自分なりの論理がある。みんなほぼ無意識にその論理にのっとって行動している。危ないのは、自分でそれに気づいていない人間だ」

多様性の科学より

自分には盲点がない!まわりより優れている!と思い込むのはキケンということだね

あるジャーナリストの気づきも紹介されていました。

・通勤手段を電車と自転車に変えた
・大半の駅にはスロープ、エレベーターが設置されていないのに気がついた
・つまりベビーカーを押す親、車いすに乗っている人、歩行困難で杖を付いている人などにとってはアクセス不可能と言っていい
自分で自転車を運ぶようになるまで、その事実に気づいてさえいなかった
数えきれないほどの人々が悪影響を受けていたことにまったく無関心だった

盲点は文字通り「目に見えない」、問題を理解したり、解決したりするためには、そもそも問題が見えていないといけない。

こういう場合に欠かせないのが、多様な視点で、自分の盲点に気づかせてくれる人々(あるいは気づかせ合える人々)。

他人と会話してて、ハッとすること良くありますよね~

反論意見は人の自信を失わせるが、正解率を上げてくれる

こんな実験が紹介されていました。

・被験者を「多様性グループ、画一的グループ」の半数に分ける
・グループの半数は4人の友人で構成、残り半数は友人3人+他人1人(社会的背景や視点の異なる人物)
・それぞれのグループに複数の殺人事件を解決するという課題を与える
・各グループには、証拠やアリバイ、目撃者の証言、容疑者リストなど様々な資料が与えれれる
・結果、他人を含めたグループの正解率は75%、友人ばかりのグループは54%
・ちなみに、個人でこの課題に取り組んだ場合の正解率は44%だった

多様性グループの話し合いは大変だったそうです。
・多角な視点で様々な議論がなされる
・反対意見も多く出た
・高い確率で正解を出したものの、それを知るまで自分たちの答えには強い自信を持っていなかった

一方、画一的なグループは‥
・気持ちよく話し合いができた
・互いに同意し合うことがほどんど
・正解率は低かったが、自分たちの答えにかなりの自信を持っていた

つまり画一的なグループは、

盲点が指摘されることなく、それがあることに気づく機会もなかった。
彼らは異なる視点を取り入れられないまま、自分たちが正しいと信じた。
(中略)
重大な過ちを過剰な自信で見過ごし、そのまま判断を下してしまう。

多様性の科学より

これ、日本の政治やん‥

厳しいことを言うと‥
自分が気持ちよく事を行いたいだけなら、画一的な集団や個人の方がよい。
しかし、本気で(複雑な)問題を解決したいならば、自分と意見が異なる人々をチームに入れて「自分の信念が揺らいででも」反論意見にも耳を傾けなければならない。
※ただし、悪意がある反論や誹謗中傷には耳を傾ける必要はない

前述しているCIAの例だと、多様性の欠如は世界随一の情報機関をも弱体化させる力があると言われていました。

どれだけ優秀でも、同じ特徴の者ばかりを集めた多様性に欠けるチームでは、集合知を得られず高いパフォーマンスを発揮できないという話だ。

多様性の科学より

多様な考えは政治だけでなく「クリエイティブ分野」でも大活躍の予感‥

努力もできるし、毎日の訓練も欠かさない「マジメな人」が上手く行かないのは なぜでしょうか?

イラストや漫画の分野でも描いても描いても「努力が報われない‥(;_:)」という話をよく聞きますが、もしかしたら多様な考えが足りないのかもしれません。

いったん、離れてみるメリット

絵師を目指していた人が心折れて、別の仕事に就き、数年後にまた絵に再挑戦すると上手く行くような話にも通ずるところがありますね(^^)
別の仕事を経験することによって新たな視点ができて、本来やりたかった事に生かせたという。

ちなみに、自身も多様な視点ために「絵」と「文章」を武器にしています(最近は動画も)

書籍にも書かれていましたが、多様な経験の組み合わせは何でも役立つそうです。

・絵+音楽
・プログラミング+音楽
・プログラミング+絵、文章+動画編集+音楽

体験したものが多いほど、盲点をカバーできます(ただし、1人で完璧に盲点をカバーするのは不可能)。

1つのことに上手く行かない場合は、2番目に興味があることに手を出してみてもいいかもしれません(^^)

富裕層たちが決めた人頭税の大失敗

書籍の中では、先ほどのCIAの話に加えて、イギリスの悪名高い人頭税の話がされていました。

人頭税の内容をまとめると‥

・人頭税は、所得に関係なく全国民が「一定額」を支払う方式の地方税
・つまり、貧困層の税負担が大きくなり、富裕層の税負担が軽くなる
・スムーズに徴収できる見込みがほぼない(貧困層は払える人が少ないため)
・結果、抗議デモや暴動が多発した
・人頭税失敗の原因は、人頭税を検討・決定した人々(大臣たち)が富裕層~超富裕層、有名大学出身だったから
・国民の現実とは かけ離れている
・多様な知識や経験が特に欠かせない政策決定の場で、画一的な集団に責任が委ねられたのは悲劇でしかない

暴動は、車を炎上させたり、商店の窓ガラスを割り、略奪行為に及ぶ事態となったとありました。
日本の江戸時代に起きた「打ちこわし」みたいですね(^^;)

政策って、ミスるとかなり危険だよね‥

・人頭税を決めた優秀な方々は不真面目だったのか?
・自分たちに有利な政策をしようとしたのか?
‥というとそうではなくて、ただ人頭税の欠点に「気づかなかった」だけだそうです。
優秀な富裕層の大臣たちが互いに同調しあい、自分の考えに過剰な自信を持ったためとされています。
この集団の中に数人でも普通階級の人がいたら、人頭税は没案になっていたかもしれません。

多様な視点?サッカー英国代表の会合に起業家や陸軍士官が集められた

集められた方々一覧
・この書籍(多様性の科学)の著者
・IT起業家
・UKスポーツの元会長
・教育専門家
・元ラグビーのヘッドコーチ
・ロードレースチームのゼネラルマネージャー
・陸軍士官学校の女性士官

集められた理由:連敗つづきで落ち目になっているサッカーイングランド代表チームを立て直したい(原因を探りたい)

多様性の科学の書籍を読んだので、この集まりが有効なのが分かりますが‥とくにIT起業家・執筆家はサッカーに関係があるのか疑問ですよね(^^;)

実際に「なぜ?」「意味がわからない」という批判が世間から強かったようです。
参加した この書籍の著者も、イングランド代表監督への助言などできるのだろうか?と思っていたそうです。

集められた方々はそれぞれの視点でアドバイスしてみたようです(ただし、書籍では詳細を公表することはできないと書かれていました)。
※書籍では、門外漢(専門外)のアドバイスを「反逆者のアイディア」と呼んでいます

・元ラグビーのヘッドコーチ→選手の選抜方法を提案
・ロードレースチームのゼネラルマネージャー→食事と運動の改善方法とデータ検証の方法をアドバイス
・陸軍士官学校の女性士官→不屈の精神の鍛え方をアドバイス
・IT起業家→組織に革新をもたらす秘訣を解説
・教育専門家→抽象的なアイディアを具現化する方法をアドバイス

サッカー専門家(監督や選手、元選手など)だけを集めていたらどうなっていたか?
サッカー専門家の知識は、互いに重なり合うことも多い。

ものの見方や考え方の枠組みが似ている。
プレーの仕方についても指導方法についても、その世界に長くいるひとならではの同じような固定観念にとらわれている。

多様性の科学より

同種の専門家同士の場合、助言する側もされる側も、すでに同じような知識を持っている。自分たちが知らないことは相手も知らない。

委員会の会合でサッカーの門外漢たちが、それまで専門家たちが見逃していた弱点を暴き出す姿は痛快だったと著者は言っています。

この光景、ある程度年齢を重ねた人なら一度は覚えがあるのではないでしょうか?

「多様性豊かな集団は、その頭数以上の力を発揮できる」

どうしても解決できない問題があるときは、専門家以外の意見を取り入れるのもいいかもしれませんね(^^)

多様性があっても、徐々に組織に「同化」してしまう罠

大手銀行に勤める上級管理職の女性の話がされていました。

・銀行で新卒の行員たちを雇った
・それぞれ違った背景を持ち、さまざまなアイデアに溢れた若者たち
・組織文化に「適応」しようと、次第に型にはまっていった
・皆はじめは独自の視点や意見を持っていたのに、彼らの声は少しずつ聞こえなくなっていった
・組織に「認められた考え方」に合わない声はかき消されていった

大企業あるあるですね(^^;)
自身も大企業にいたことがあるので、よく分かります。

この「同化現象」って、回避する方法はあるんだろうか?

あとで紹介する「社交性」とも関わってきますが、人間は群れで生活する生き物なので、同化現象は避けられない
対策としては、「組織や個人は画一的になる傾向がある」‥という事実を頭に入れておくこと。

人間の画一性を頭に入れておくことで、
・自分たちがカバーできていない分野(盲点)があるのでは?と疑える
・イエスマンだらけ→自分たちの考えに過剰な自信を持っていないか疑える
・自分たち以外の外部の知恵を入れる‥という判断が可能になる
・・これらができるので、同化からの失敗を減らすことができる。

アメリカは転職が活発ですが、「同化」を避けるためでもあるのかな?‥となんとなく思いました。

あと、
会社員をしていた人が、副業をはじめて、本業でも生産性が上がったりする現象にも通ずる所がありますね。
会社員と個人事業主(フリーランス)では、モノの見方が変わると思うので!(^^)

頭が切れるより、社交的になった方がいい理由とは?

イノベーション(これまでにないものを生み出すこと)は一個人の超人的な努力によって生まれると考えられてきたが、色んな人々のアイデアの組み合わせ(集合知)だと書籍で言われています。

たとえば、2つの部族が弓矢を発明すると仮定する。

・一方は大きな脳を持つ頭のいい「天才族」(ただし、社交的ではない)
・もう一方は社交的な「ネットワーク族」(ただし、天才ではない)
・天才族の中でイノベーションを起こすのは、人口の18%のみ
ネットワーク族は99.9%がイノベーションを起こす

多様な人々がつながることによって、イノベーションが生まれる。

シリコンバレーの発展と、廃れていったルート128の話も書かれていました。
簡単にまとめると‥

・半導体産業、エンジニアの若き男女は毎年、店に集う
・みな仕事帰りに店に向かい、酒を飲みかわしながら、仕事やゴシップ、戦果報告などを語り合った
・情報やアイデアが活発に行き交じり、融合して、さらに新たなアイデアが生まれた
シリコンバレーでは情報の伝播(でんぱん)速度に勢いがあった
一方、ルート128には会合的な場所はなく、閉鎖的であった
・「解決できない問題があったら、ワゴン・ホイール(シリコンバレーの店)に行って誰かに聞けばいい」というジョークがあったほど
ある技術や話題の当事者は別の話題では第三者であり、その逆もまたしかりで広範に多様な意見が交わされる

人々のつながりで急速に発展するなら、インターネットやSNSのおかげで世界はこれからもドンドン発展していく可能性があるね

ネット環境が整っていない国や実質的に鎖国状態では発展が遅れてしまうってことですよね‥

そういえば、日本も遠い昔に鎖国していましたが、様々な分野で技術が海外より遅れていたという話を聞いたことがあります。
井戸水・着物・ちょんまげ・刀な時代でしたからね‥(^^;)

そう考えると、情報統制する国も発展が遅れる可能性がありますね。中国とか‥

閉ざされたネットワークが招くのは孤立だけではない。
(中略)
自分だけの枠組みの中に閉じこもれば閉じこもるほど、新たなチャンスを脅威とみなすようになる。

多様性の科学より

現在でもよく見かける「AIに仕事を奪われるかも‥」という考えも危険ということですね(^^;)
むしろAIは積極的に利用していきたいところ。

移民(初心者)の方がパフォーマンスが高い?

書籍では、アイデアの融合が欠かせないと言われていました。
世界的に有名な起業家たちは、移民もしくは移民の娘や息子たちという共通点があった。
つまり、
・移民は新天地で新たな文化を経験する回数が多く、順応するのにも慣れている
・技術やアイデアを不変なものだとは思わない
・古い慣習や思い込みを新たな観点から見て疑問を挟むことができる

アメリカは移民を受け入れる国だから、革新的な国家になったのかな?

「1つの枠組みの中にどっぷり漬かっているいると、そこから飛び出すのは難しい」

人は熟練して深い知識があるからこそ現状にとわわれやすい。
そのせいで、新たなテクノロジーによる進化の可能性に気づけなくなる。
(中略)
既存の工程、顧客、仕入れ業者など、それらすべてが明らかなはずの物事を覆い隠してしまう。

多様性の科学より

書籍で紹介されていた、おもしろい例です↓

・トランプゲーム「ブリッジ」で初心者とプロを戦わせる
・当然だが、結果はプロが勝った
・その後、ルールに一部変更を加える
・初心者は変更の影響を受けず、すぐに新しいルールに順応した
・しかし、従来のルールに慣れ親しんだプロは混乱し、変更に対応するのに時間がかかり、パフォーマンスが落ちた

これちょっと覚えがあります(^^;)
学生のころ、同級生とトランプゲーム「大富豪」を良くやっていたんですが、別の友達と大富豪をするとき、それぞれルールが違っていて慣れるのに時間がかかりましたね。

ほかには、こんな例も書かれていました。

ノーベル賞を受賞した科学者と、同時代のその他の学者を比較した。
結果、ノーベル賞を受賞した科学者は、その他の科学者に比べて楽器を演奏する者が2倍多いことがわかった。
さらに絵を描くか彫刻をする者は7倍詩か戯曲か一般向けの本を書く物は12倍
アマチュア演劇かダンスかマジックをする者は22倍多かった
起業家や発明家を対象にした調査でも似たような結果が出ている。

多様性の科学より

自身も絵と文章を書いていますが、めっちゃ分かります(^^)
最近では動画も1本作って、新たなアイデア・やりたいことが出てきたので、上記の内容はすごく説得力がありました。

まったく新たな何かを創り出すのではなく、既存のものを新たな視点から見て作品にする。
(中略)
融合が進化の原動力になりつつある現代において、重要な役割を果たすのは、従来の枠組みを飛び越えていける人々、異なる分野間の橋渡しができる人々、立ちはだかる壁を不変のもの、破壊不可能なものとは考えない人々が、未来の成長の扉を開いていく。
(中略)
当事者でいながら、第三者でもいることが肝心。

多様性の科学より

現状維持にとらわれている人ほど難しいのかもしれません(^^;)

人類が自分ひとりでは一生かかっても学べないことを集団からどんどん学習するようになると、自然淘汰によって他者から学ぶ能力に長けた人が優位に立ち始める

色んな人が持ち寄る知識は、超一流をしのぐ?

書籍で紹介されていた例です。

・ミシガン大学(アメリカ)の学生グループに、ロンドン(イギリス)の地下鉄の全長距離を推測させる実験を行う
・グループが出した予測は249マイル(約400㎞)
・正解は250マイル(約402㎞)だった

他国の地下鉄なのに、なぜ こんな「ほぼ正確な」予測ができたのか?

集合知は多様な人々がそれぞれの知識を持ち寄ることで生まれる。
(中略)
学生たちの中にはロンドンに行ったことがある者や、ニューヨークの地下鉄なら馴染みのある者などがいたのかもしれない。
人が何かを推測するときは、自分が持つ情報をなんでも手がかりにする。
そうやってグループの一人ひとりが出した予測が価値ある情報として蓄積される。

多様性の科学より

ちょっと前に こんなツイートをしましたが、これはクリエイティブ分野でも当てはまるなと思いました。

※東方とは、ZUN氏という個人が作った弾幕型シューティングゲーム。
2次創作の音楽、歌、アニメーション、小説、マンガなどが活発で、絶大な人気を誇るコンテンツ。

集合知を利用すると、正しい情報だけでなく、間違った情報も蓄積されるよね?それはどうなの?

価値ある情報が正解という一点を向いているのに対して、間違った情報はそれぞれ違った方向を指している。
予測した値が大きすぎたり小さすぎたりするのだ。
(中略)
「正しい情報が蓄積する一方で、間違った情報は互いを相殺し合う。
その結果、驚くほど正確な予測が生まれる」

多様性の科学より

パズルの形状みたいに、全然合わないものは すぐ候補から外れるようなイメージでしょうかね?

ただし、まったく知識のない素人集団では正解にたどり着けないと言われていました。

集合知を得るには、賢い個人+多様性(モノの見方が違う優秀な人びと)が必要。

あるエコノミストの経済予測対決(成績トップVS成績上位6名チーム)では、成績上位6名チームの方が15%も予測が正確だったそうです。
これが成績トップVS経済とは無縁の素人6名チームなら、成績トップには(おそらく)敵わないですよね。
経済予測は、自然災害・テロ(戦争)・気温・大企業や銀行の倒産・不正・投資家心理など数えきれない要素が複雑に絡み合って変動するわけですから。

あと、もう一つの注意点として‥
人種・性別・生まれた国が多様であっても、同じ学校で・同じ先生から学んでいる場合は、同じ考えを持つ「クローン」である可能性が高いと注意喚起されていました。

デザイン分野で多様性を利用する場合は「平均」してはいけない

経済「予測」のような分野は多様性を使って正解率を上げてくれましたが、デザイン分野で考えてみる場合はどうなるか?

複数のアイデアの「中間」をとるようなことをすると矛盾が生じる

ある慣用句が紹介されています。
「委員会が馬をデザインするとラクダになる」→みんなの意見を取り入れようとすると、おかしなことになるという意味

ブログや広告とかもそうですよね(^^;)
全員向けに広告を作ると誰にも刺さらなくなるという‥。
ブログでは特に、誰に向けての記事なのかターゲット層を絞れと、口を酸っぱくして言われています(どんな悩みを抱えてる人向けの記事なのか?等)。

良いデザインにするためには、一部のアイデアを切り捨てねばならないこともある。
しかし、発想そのものが数多く出るのはいいこと。

「少数派の意見は重要だ。集団の視野を広げて発想を刺激する。たとえ意見そのものが間違っていても、新たなアイデアを生むきっかけになり、結果的に質の高い解決策を導き出せる

多様性の科学より

さきほども紹介した「決定力!」という書籍でも、選択肢を少し増やしてやるだけで、質の良い判断ができると書かれていましたが同じことですね(^^)
ただし、選択肢が多すぎると選択マヒ(どれも選べなくなる)を起こすので注意が必要。

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頭のいい人材(超一流)を集めさえすれば、頭のいい集団ができると思い込まないこと。

前述しているサッカーイングランド会合みたいな別分野の専門家(超一流)を集めるのが1番だね

ダイエット・コックピット・血糖値のおもしろい例

①なぜ、誰にもでも合うダイエット方法はないのか?
②なぜ、量産型の戦闘機で墜落事故が多かったのか?
③なぜ、血糖値を乱高下してしまう食品が人によって違うのか?

‥この3つの話がされていました。
結論を先にいうと、人間の身体は多種多様ですべての人に合うモノ(平均)はないからだということです。
つまり、標準化されたものを疑えということ。

<①なぜ、誰にもでも合うダイエット方法はないのか?>

ダイエットには流行があります。
ダイエットには食物繊維たっぷりの野菜が良いと言われたり、鶏肉がいいと言われたり。
低脂肪食がいいという研究結果もあれば、高脂肪食を勧めるものもある。
一体、どれが本当なんだろう?

ある研究者がマラソン大会に出場するために、前日の食事を変える実験を自身で行っています。

・レース前日にはパスタを3皿、レースが始まる30分前はナツメヤシの果実かエナジーバーを数個食べるのが主流だった
・しかし、ある晩パスタの代わりに、アボガドやナッツやゴマペーストたっぷりのサラダを食べてみた
・翌朝、約32㎞を走り切った
・レース直前や途中にも何1つ食べる必要はなかった
これは当時推奨されていた方法に逆らうやり方だった
・本人(研究者)はエネルギーがみなぎっていたと言っている
・レース後に、ものすごい空腹感に襲われることもなかった

これは、多くのダイエット経験者が実感しているんじゃないでしょうか?(^^;)
推奨されている特定の食品を食べても効果がないなど。

<②なぜ、量産型の戦闘機で墜落事故が多かったのか?>

米空軍の戦闘機のコックピットは、パイロットの体格などを「平均させた」した作りになっていたそうです(座席の高さ、ペダルやギアの位置、フロントガラスの高さ、ヘルメットの形など)。
パイロットたちは腕の長さ、足の長さ、体格、体重など当然みな違います

現在の車のように、座席の位置やジョイスティック(レバー)を自分たちに合った位置に変えれる仕組みにしたら墜落事故が激減したと言われてました。

そういえば、ちょっと前に作業机を買いました。
自分に合った高さにカスタマイズして使ったら、腰も痛くならないし、作業に集中できるしで快適でした(^^)

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<③なぜ、血糖値を乱高下してしまう食品が人によって違うのか?>

血糖値の話では、2種類のパンを被験者に食べさせて血糖値を測る実験が紹介されていました。

・ダイエットや食事療法をしていない健康な被験者を選び、ランダムに2つのグループにわけて、血糖値を測る
・一方は白いパン(市販のもの)を毎日1週間食べる
・もう一方は茶色いパン(手作りのもの)を同様に食べる
・どちらもそれ以外の小麦製品をとってはならない
・朝食はパンのみ、昼食と夕食は好きな物を食べる
・実験後は両グループとも2週間の休憩期間をとり、その後は互いに実験内容を入れ替える

結果は‥

・茶色いパンで血糖値が安定だった人もいれば、白いパンで安定だった人もいた
・白いパンでは不安定だったという人ともいれば、まったく逆の反応を示した人もいた
・また2種類のパンで反応がほぼ変わらなかった人もいれば、劇的な差が出た人もいた

つまり、人によって血糖値が上がる食品は異なるということ。
「自分の」血糖値を上げない食品を知りたかったら、色々と食べてみて都度、血糖値を測るしかない。

世の中で血糖値を下げるといわれている食品は、あまり当てにならないということね‥

商品に例えるなら、大量生産品よりオーダーメイド品がいいということですね。値段は高くなりますが‥(^^;)

支配的なリーダーか?友好的(尊敬型)なリーダーか?

大量の死者を出したエベレスト登山の話がされていました。
※エベレストは世界一高い山で、登頂は死と隣り合わせと言われるほど何人もの登山家が亡くなっている。上級者向け登山。

内容をまとめると‥

・登山チームは、リーダー1人+ガイド2人+登山経験豊富な登山家8名
・リーダーはエベレスト登頂に4度成功しているベテラン
登山家8名はリーダーの指示に従うように、あらかじめキツく言われている
・メンバーは、様々なトラブルに見舞われる(酸素ボンベの残数、安全に下山できるタイムリミットの超過、急な悪天候、体調不良など)
メンバーの何人かは自身の経験から、それぞれ事態が悪くなることを「事前に」予測できていた(または知っていた)のにリーダーに進言しなかった
・その後、嵐(猛吹雪)に襲われ、ほかの登山チームを入れて8人が死亡

この遭難劇は、後に「Everest」という映画になったそうです

では、この事故では何が問題だったのか?
問題は、団結力ではなくて情報が共有されなかったこと。

いくら個人が有益な情報を持っていても、それが表明され、共有されなければ意味がない。
(中略)
最終的な判断を下すのが誰かということも重要になる。

多様性の科学より

人間は強い者に従属してしまう性質があるそうです。
つまり、判断を下す強い者が判断を誤ると、大惨事になりかねない

同著者の「失敗の科学」でも書かれていた航空機関士(部下)が機長(上司)強く意見できずに起きた墜落事故の話も同じですね。
※この墜落事故の場合は、自分(部下)が知っていることは、機長(上司)も当然知っていると思い込んでいた

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集団の支配者が「異議」を自分の地位に対する脅威ととらえる環境(あるいは実際にそれを威圧するような環境)では、多様な意見がでにくくなる。
ヒエラルキーが効果的なコミュニケーションの邪魔をするのだ。

多様性の科学より

※ヒエラルキーとは、階層構造・階級制のこと

つまり、自分に異見するものを排除しようとするリーダーは、多様性を殺すということだね

では、権威あるリーダーの存在しないチームならどうなるか?

①地位の高いリーダー(シニアマネージャー)が率いるチーム
②地位がそれほど高くないリーダー(ジュニアマネージャー)が率いるチーム

②のチームの方が成功率が高かったと書籍では言われています。
似た話で、GIVE&TAKEという書籍でも言われていました。
みんなを引っ張っていくような頼れるリーダー(支配的)より、ちょっと頼りないけどメンバーから好かれるリーダー(尊敬・友好的)の方がチームとしての生産性が高いと。

個人的には「この人と一緒に働きたいな‥」と、多くの人に思われる人物がリーダーに向いていると思います

ただし、こんなことも書かれていました。

支配型も尊敬型もそれぞれに適した時と場所があります。
賢明なリーダーはその両方を使い分けることができます。
何か計画を実行するときにはに重要になるのは支配型。
しかし新たな戦略を考えたり、将来を予測したり、あるいはイノベーションをおこそうというときは、多様な視点が欠かせません。
そういう場合、支配型は大惨事を招きます。

多様性の科学より

(エベレスト登山とは別の)危険な登山の話が例に出されていましたが、単独登山より支配型のリーダーがいるチーム登山の方が死者が多いと。
支配型のリーダーが判断を誤れば全員死ぬ確率が高いが、個人で判断を誤れば死ぬのは1人。

そういえば、
「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」という映画にもなった半ノンフィクションの話でも、入社2週間でリーダーになった主人公(元ニート)がいましたね。
前のリーダーは支配的でしたが、主人公は尊敬・友好型のリーダーでした(孔明の罠こと藤田さんの力を借りつつ)。

会社側は分かってて選抜したんでしょうかね?(^^;)

支配的なリーダーがいると、ほかのメンバーは本音を言えず、リーダーの聞きたがっていると思うことを発言する。あるいはリーダーと同意見だという。
反逆者(多様)のアイデアは出てこない。

その内、メンバーは組織(リーダー)に同化していく。クローン集団またはイエスマン集団の完成です。

これ、日本の政治家やん‥

この状態を回避するには、
・もっとも地位の高い者は最後に意見を述べること
・アイデアを紙に書き投票形式にする(ただし、誰が書いたか分からないように匿名にすること)
・・この方法なら、リーダーが支配型でも多様性を殺すことはなさそうですね(^^)

ちなみに反論情報が無意識のうちに隠ぺいされて、多様性が失われる現象を「情報のカスケード」というそうです。
情報のカスケードは、順番に意見を言っていくような状態のときにも影響を及ぼす。
1人目はAという意見→2人目は1人目の意見を指標にするのでAの意見に寄せる→3人目は2人以上が同じような意見なので説得力があるという意識が働きAという意見になる。

流行や株価バブルの根っこも、こうした動きから来ているそうです。
つまり、和を乱したくないという同調から。

不安定な状況で、支配型のリーダーが支持されるのは なぜか?

人間は‥

不確かな状況や、自分でコントロールできない状況を嫌うという結果が出ている。
不確かな状況に直面すると、我々はある種の支配的なリーダーを支持して、秩序を取り戻そうとする傾向がある。

多様性の科学より

ふだん、神の存在を信じない人も、何か不安なこと・自分の力ではどうにもできない事があったときに神頼みをするのを見かけます(神社に頻繁に行ったりとか)。
これも安定や秩序を取り戻そうとする行為。
そんなことをしても不安が取り除かれるわけではないですが、「心」は多少なりとも安定を取り戻す。

つまり、支配型の人をリーダーに選んでしまうのは、チーム・組織・国・個人の問題でもある。

余談ですが、「神頼み」という話を聞くと必ず思い出すエピソードがあります。
Twitterで見かけた内容ですが「神様は裏切るけど、悪魔は約束を守ってくれる」と。
神様は都合のいいことばかり言って最後には裏切るけど、厳しくても現実を突き付けてくる悪魔は裏切らない‥すごく腑に落ちる内容でした(^^;)

リーダーがいない組織だと、どうなるか?

Googleは以前、管理職の廃止を決定したことがあるそうです。
結果は、大失敗に終わりました。
ある程度のヒエラルキー(階級制)は必要だったと結論付けています。

高級ファッション業界紙の評価に基づいて調査した別の研究では‥
ディレクターが1人のブランドより、共同ディレクター体制のブランドの方が、創造性が低いと評価されていた。

原因は、

「リーダーが複数いる体制では責任の所在が曖昧になり、その結果せっかくのアイデアを殺してしまうことがある」
(中略)
ヒエラルキーがなければ、チームのメンバーは次に何をするべきかで常に言い争うことになる。
これは混乱ばかりを招く危険な状態だ。

多様性の科学より

書籍を読めば読むほど、リーダーって責任が重くて、判断力も使うし(脳に負荷がかかる)、多様性も考慮しなくてはならない大変な仕事だなぁと思いました(^^;)

働かない(?)管理職もいるけど‥管理職を安く使い倒そうとする会社が、ますます許せなくなるね

多様性を生かすには、真似できる能力(素直さ)も欠かせない

こんな実験が書かれていました。

・人間の2歳半の幼児、同年齢のチンパンジーとオラウータンで空間記録力(物体があった場所を覚える能力)、形や音を識別する能力をそれぞれ測る
・結果は、それぞれ ほぼ同様の認知能力を示した(オラウータンの認知力だけは他よりわずかに低かった)
・ただし、1つだけ人間が優れていた能力があった
社会的学習能力(他者の行動を模倣して学習する力)だ
・細い管から食べ物を取り出す複雑な方法を被験者に見せると、人間の幼児はすぐに真似をして、あっという間に食べ物を取り出すことができた
・しかし、チンパンジーとオラウータンは、自分が見たことを理解できず、真似して取り出すこともできなかった

社会的学習能力のテストでは、2歳半の幼児のほとんどが満点をとったが、ほかの霊長類はほどんど0点だったと言われていました。
人間の子供は知識の吸収量がハンパないと言われていますしね(^^;)

つまり、人類が高度な知能を持っているのは、他者(の脳)とつながり合いながら進化してきたから。
これがチンパンジーやオラウータンとの違い。

ビジネスの世界でもよく言われていますが、「素直に真似をできるか?」がカギを握っていますよね

ただし、反証することも大事なので‥
行動は素直にしつつ、行動後の反論は自由‥というスタイルがいいのかなと個人的には思いました。

まとめ:素直+社交的+勤勉である人間が強い

・単純な問題解決は超一流、複雑な問題解決は多様性が重要
・誰しも画一的になることを頭に入れておく
・なじみのない分野に触れる機会を作る
・反対意見にも耳を傾ける
・素直さ、社交性、勤勉さがカギ

失敗の科学につづき、とても良い書籍でした(^^)
多様性は色々な分野で使えると思いますが、個人的に思うのはクリエイティブ分野での応用に便利そうです。

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