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努力?才能?運?法則性をみつけると、偶然性を無視する心理

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ビジネス書をたくさん読んできましたが、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」が、どの書籍でも引用されていて気になっていました。

実際に読んでみて、半分はムズかしくて理解できませんでしたが、残り50%は超役立つ内容でした。
理解できた部分+役立った部分のみ、この記事で紹介します。
なお、ファスト&スローは上下巻に分かれているので、この記事では上巻の内容のみ取り上げています。
下巻を読むのは、しばらく先になりそうです‥(^^;)

この記事で紹介すること

・簡単な答え飛びついてしまう人間の心理とは?
・熟考し、判断ミスの回数を減らす方法
・判断を誤らす先行刺激とは?
・平均(偶然)より法則性を探したがる人間の脳
・人の判断より、数式に当てはめた判断の方が正確になる理由
・他、おもしろかった余談

難しい内容もありますが、なるべく分かりやすく書いていきます(^^)
この記事は、書籍のネタバレを含みます。

ファスト&スローの内容が引用されていたオススメ良書3つ↓

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目次

難しい質問には、熟考や論理思考より自分が「好きか」「嫌いか」で判断?

これ、うちの母親に似たような質問をしたことがあるんですが、「なぜ賛成なの?」と聞くと、「イルカは人間に近く(哺乳類だから?)可愛いから」だと答えます。
つまり、自分がイルカを好きだから「賛成」ということ。
母親は動物番組をよく見てますしね(^^;)

本来は‥

反対するにせよ、賛成するにせよ、本来は上記のようなデータが必要なのに自分の中で簡単な質問に置き換えて答えてしまう。

難しいことなんて考えたくない‥という人間の本能的なものかな?

余談:思い出した内容より、思い出しやすさに左右される

思い出した内容よりも、思い出しやすさに強く影響される。
ニュースなど目にする頻度が多いと、実際も多いと勘違いしてしまう。

いまの時期だと、
コロナウィルスにかかった人が○千人というニュースが毎日放送される

コロナ患者が増えている?

自身でも対策しよう!‥となる

「マスコミの情報操作だ!」と騒がれるのは、こういう意味だったんですね

単純なミスを減らす=熟考するにはどうしたらいい?

前の方で紹介している「スイッチ!」という書籍に書かれていた内容と、かぶるのですが‥
解決方法①:大事な場面ではセルフコントロールを消耗させないこと・回復させること
解決方法②:簡単な答えに飛びつく人間の心理を理解すること
※セルフコントロールとは、理性をコントロールする力のこと。望ましくない誘惑と戦う力。
例:ダイエット中だけど、ケーキ(高カロリー食品)が食べたい!が我慢するなど。

書籍では、小難しく書かれていますが「人間は、なぜ休まなければならないのか?」「遊ばなくてはならないのか?」が、納得する形で言語化されています。

解決方法①:大事な場面ではセルフコントロールを消耗させないこと・回復させること

たとえば、何かしらの我慢がつづいたり、時間的な余裕がなくて、判断を誤ってしまった経験がないでしょうか?

・ダイエット中に食べるのを我慢しつづけた結果→パフェを食べてしまった
・仕事でストレスが溜まっていた結果→必要ないものを衝動買いしてしまった
・睡眠不足でイライラしていて、家族に八つ当たりした結果→ケンカになってしまった

何かを無理やり頑張ってこなした後で、つぎの難題が降り掛かってきたとき、あなたはセルフコントロールをしたくなるが上手くできなくなる。
(中略)
セルフコントロールを消耗した人は、熟考ができなくなる。
認知的タスクや論理的な意思決定で、お粗末な判断を下す。

ファスト&スロー上巻より

つまり、「大事なことをやる前は」セルフコントロールを消耗するようなこと(我慢しつづける)をしない、もしくは回復させることですね

書籍で書かれていた内容で、まだ詳しいことは調査中とのことですが‥
セルフコントロールの回復にはブドウ糖が役立つと書かれています。

神経系は、人間の体のどの部分よりも多くのブドウ糖を消費する。
そして、非常な努力を要する認知的活動はブドウ糖というコストで換算すると、とりわけ高くつくと考えられている。

ファスト&スロー上巻より

そういえば、頭使うと甘いものが食べたくなる‥とよく言われているよね

実際にブログ記事の執筆を3時間ほど頑張ったあとに、ラムネ(ブドウ糖90%含む)を買ってきて食べてみましたが、ほんの少しヘロヘロだった脳が回復した気がしました。
追記:脳の疲れを速攻で回復させたい場合は、ブドウ糖が含まれている「飲料」が良かったです(^^)カルピス、ぐんぐんグルトなど。
仕組みはわかりませんが、ラムネより脳がスッキリするのが早かった。

あと、個人的にオススメなセルフコントロール回復法が好きなことに没頭する‥ですね。
ちょっと前にブログや絵を一時中断して、6時間くらいご飯も食べずにゲームに没頭していました(^^;)
たぶん、セルフコントロールが効かなくなっていたんでしょうね‥。

最初はゲームを楽しんだあとに「オーマイガー!(;゚Д゚)時間ヤベー」と思いましたが‥。
つぎの日、仕事でトラブルが起きても穏やかに対処することができました。自然とニコニコしている状態。
つぎの日のブログや絵も良い気分で作業ができました。

動物が好きな方なら、動物との触れあいもオススメです。動物は「いやし効果」が高いですからね

Yahoo!ニュースとか見ても、必ず動物ネタがあるよね。それだけ動物需要(いやし効果?)が高いということだね

セルフコントロールが効かなくなりそうなら、なんとか時間を作って好きなことに没頭してみましょう。
作業効率アップも期待できます。

解決方法②:簡単な答えに飛びつく人間の心理を理解すること

人間は脳が疲れているとき・時間的な余裕がないとき、
・単純なミスをする
・怒りっぽくなる
・我慢ができなくなる
・・こういう習性を理解していれば、少なからず対処ができます。

・前述しているセルフコントロールを回復させる
・大事な判断は、時間の余裕があるときにする
・イライラしているときは、人との会話をなるべく避ける

上記の知識があるだけで、失敗してしまっても反省できるし、つぎは同じ失敗をしないようになるよね

「なぜ、自分は同じ失敗をしてしまうのか‥無能なの‥?(T_T)」と自分を責める回数も減らせるし、心身の健康を保つためにも知識で武装することは大切ですね(^^)

脳の動きの前提:直感(システム1)と理論(システム2)の役割

ファスト&スローで何度も登場する脳の「システム1」と「システム2」は、先ほど紹介している「スイッチ!」という書籍の方がわかりやすく解説されていますので、スイッチの内容もからめて紹介させてもらいます。
「スイッチ!」では、「システム1」を象、「システム2」を象使いに例えています。

システム1(象):直感的で衝動的な感情。寝たい、食べたい、好き嫌い、面倒くさいなど。
システム2(象使い):直感や衝動的な判断を監視&制御する理性的な役割をもつ。衝動買いをやめたり、ダイエット中に食事を制限するなど。

象使いは象の動きをコントロールするが、象は大きくて力が強いので、動きを抑えることは簡単ではない。

知的怠惰の罪を犯さない人たちは、より「まじめ」だと言える。
注意深くせっせと頭を使う、うわべは魅力的な答えに安易に満足せず、直感に対してより懐疑的である。

ファスト&スロー上巻より

これだと何のこと言っているのかわからないので(翻訳のせい?)、書籍に書かれていた例を見てもらった方が分かりやすいと思います。

・バットとボールは合わせて1ドル10セントです
・バッドはボールより1ドル高いです
・では、ボールはいくらでしょう?

ファスト&スロー上巻より

こういう問題が、わざわざ書籍から出てくるわけだから10セントではないのはスグわかると思います。

バット(1ドル+?セント)+ボール(?セント)=1ドル10セント

誤:バット(1ドル+10セント)+ボール(10セント)=1ドル20セント
正:バッド(1ドル+5セント)+ボール(5セント)=1ドル10セント

計算式を紙などに書き出してみると、わかりやすいですね(^^)
即座に10セントと答えたひとは(頭に思い浮かんだだけなら ともかく)、自分の中のシステム2がシステム1の直感的な衝動に負けてしまっているということ。

あー‥疲れている時(セルフコントロールが消耗している時)なんかは、10セントと即座に答えてしまいそう‥

思いついた最初の考えを答えがちで、直感が正しいかどうか確かめる努力を惜しむことを発見した。
直感を無批判に受け入れる人は、システム1からの提案は何事によらず受け入れる傾向がある。
(中略)
衝動的で、せっかちで、目先の満足を貪欲に追い求める。

ファスト&スロー上巻

システム2が疲れきっている時、何かに忙殺されている時、人間は根拠のない説得的なメッセージに影響されやすくなるそうです。

詐欺系広告でよく見かける「毎日5分、スマホをポチポチするだけで〇〇万円稼げます!」に引っかかちゃう人は、こんな傾向があるのかもしれないですね(^^;)

システム2を回復させること=休む・遊ぶ→困難を乗り越えるために必須の作業

判断を誤らす先行刺激(プライム)とは?

ある単語に接したときには、その関連語が想起されやすくなるという明らかな変化が認められることがわかった。

ファスト&スロー上巻より

書籍に書かれていた例ですが‥
「食べる」という単語を見たり聞いたりしたあとに、「SO□P」という穴埋め問題が出たら、大勢のひとは「SOUP・スープ」と答える。
「SOAP・石せっけん」ではなくて。
逆に、「洗う」という単語を見た後に同じ穴埋め問題をやると、今度は「SOAP・石せっけん」と答える人が増える。

これをプライミング効果(先行刺激)と呼ぶそうです。

マンガなどで、「ツラくても笑え!」→元気になる?‥みたいな効果もプライミング効果の一種なのかもしれませんね。

なんか催眠術みたい‥

書籍内で、おもしろい実験が書かれていました。
・「お金」を連想させるもの(単語など含む)を最初にいっさい見せない被験者グループA
・「お金」を連想させるものを見せまくる被験者グループB
・・両グループにその後、難問に取り組ませたらどうなるか?という実験です。

お金を連想させるものの例としては‥
・高い
・サラリー(給料)
・おもちゃのお金
・水に浮かぶドル紙幣の画像
・・などです。

結果は、
・グループB(お金を連想させるものを見まくった側)の方が難問に取り組む時間が2倍に増えた→自立性アップ
・グループBの方は、ほかの被験者を手伝うのを惜しむ傾向が強かった→利己心が強まった
・同シリーズの別の実験では、グループBの方が1人でいることを好む傾向が強まった→自立性アップ
※利己とは、自分の利益を考えること。利他は他人の利益を考えること。

お金を連想するものを見つづけると、「自立心」と「利己心」が上がるということですね。

ただ、書籍でも書かれていますが、「この実験が、どんな意味を持つか?」研究者はあえて論じていません。読者に考えをゆだねています。

自立心がアップするのは素晴らしいけど、自分の利益しか考えない人間になるのはちょっと嫌だな‥というワケですね

もう1つのおもしろい例だと、
独裁国家では「親愛なる指導者」の写真がそこら中に飾ってあります。
これは、「服従」「見張られている」効果があるそうです。
みずから考えたり、行動したりする気持ちが失せてしまい、自立心を奪う。

日本だと、昔の天皇制が上記に近いのかな?と思いました。
(そういえば、うちの祖母の家にも天皇の一家の写真が飾られていました)
現在でも独裁国家の街や市民の家に、指導者の写真が飾られているのかもしれませんが‥(^^;)

アンカリング効果=数字に惑わされる現象は、なぜ起こるのか?

アンカリング効果(Anchoring Effect)とは、最初に与えられた数字(アンカー)を基準に考えることで、その後に提示された別の数字への認識が異なるという現象です。心理学における認知バイアスの一つです。

canvasサイト様から引用

https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2021/12/post-611.html

車などの高価なものの販売で、よく使われている手法です。
例:最初に500万円の車をお客さんに見せてから、次に350万円の車を見せると、お客さんは350万円の車を安く感じる‥というような効果。

お客さんが「車価格の相場」「値段に対する機能の豊富さ」「収入に対する無理のないローン返済額」がわからない場合、ワラを掴むような思いで情報を探る。
正解を知っている人=車のセールスマンがすすめてくれているのだから、最初に提示された500万円と、次に紹介された350万円は良いヒントになると思っている。

明らかにデタラメなアンカーであっても、手掛かりになり得るアンカーと同じ効果をもたらすことである。

ファスト&スロー上巻より

高価な買い物をするときは、最低限「相場」や「ローン返済の知識」「品物の比較」など勉強してこないと、売り手側にカモにされるってことでもあるね

「高価な買い物」や「重要な議論」をすることが、あらかじめ分かっている場合は、基本部分だけでも勉強した方がアンカリングに惑わされなくて済みますね(^^;)

「規則性」「法則性」を見つけると、ランダムの可能性を捨ててしまう心理

規則性をつかさどるルールらしきものを感じ取ると、すぐさま「もしかすると本当はランダムかもしれない」という考えを捨ててしまう

ファスト&スロー上巻より

人間の脳は、元々ラクをしたい仕組み(自動的思考)になっているからかな?

書籍には、ゴルフのスコア・会社の業績とCEO(代表)手腕の関係性の話などが紹介されていました。
例えば、ゴルフ試合の話では‥
・A選手は初日に好成績を出す
・B選手は初日の成績は乏しくない
※A選手とB選手の実力は、ほぼ同じと仮定します

なぜ、このような成績になったのでしょうか?・・と質問されたらどう答えるか。
プロスポーツの実況解説でも似たような質問が、よくされていますよね‥(^^;)

・A選手には優秀なコーチが付いているから
・B選手は緊張していたから
・A選手は試合に勝てるようにお祈り(?)したから
・B選手は練習を怠けていたから
・・など素人意見では色々な理由が上がります。

さらに次の日の試合‥
・今度はA選手の成績が乏しくない
・B選手は好成績を出す

なぜ、このような成績になったのでしょうか?‥・・と質問されたらどう答えるか。

・A選手は前日の成績の結果で、楽観的になっていたから
・B選手は前日の成績を反省してやる気を出したから

素人意見だと、このような考えが浮かびました。

実力がほぼ同じであれば、結果に影響するのは「運」の要素が強いということになりますが、結果は「ランダム(偶然)」だと答える(思う)人は、少ないそうです。
なんらかの「因果関係」を付けたがる。

プロスポーツの実況番組だと解説者が、この結果は「運(偶然)によるものです」と言っても、視聴者はおもしろくないですからね‥(^^;)
番組を盛り上げるために、仕方ないっちゃ、仕方ないですが‥。

同条件なら「平均への回帰」と考える方が正確である

平均への回帰とは、ある1つの試験結果について偏った成績(特別に良かったもしくは悪かった)の集団を対象として2つ目の試験(時間的には逆でもよい)の結果を見ると、その集団の平均成績は1つ目より2つ目のほうが平均値に近づくという統計学的現象をいう。

wikiより

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%9B%9E%E5%B8%B0

書籍の別の章では、株式取引の話にも触れられていて、「アクティブ運用」と「インデックス運用」ではどちらの成績が良くなるか?というもの。
※アクティブ運用とは、運用者の判断で株を売買して利益を出す仕組み。
※インデックス運用とは、目安となる指数(ベンチマーク)に連動して株を売買し、利益を出す仕組み。

アクティブ運用は手動(人が判断する)、インデックス運用は半自動(最初の指数は人が決めるが、ほかは人が判断しない)ということ。

約8割のアクティブ型株式投資信託の運用成績が、S&P500などのインデックス型株式投資信託の運用成績を下回ると報告されているそうです。
これはアメリカだけでなく、日本でも同様の成績。

上記は有名な話で、実際に「ドルコスト平均法」を使って株式を購入している層の方が、短期~中期で売り買いしている人より、長期的にみると成績が良いなんて話もあります(ただし、長期的にみて、右肩上がりの株や投資信託に投資している場合にかぎる)。
※ドルコスト平均法とは、自分が最初に決めた額・期間で、ほぼ等間隔に株式を購入していく方法。株価が高い時も低い時も買うことになる。

私の場合、つみたてNISAで毎月1日付近に33333円購入しています。20年間購入しつづける予定。

ただし、平均への回帰に関して、書籍内でも注意書きがあって、「標本サイズが大きい方が正確」「標本サイズが小さいと、かたよりが起こる」とされています。

株式投資にたとえると、こんなイメージ↓
・標本サイズが大きい=長期的にみる(20年で資産が+5%になった)
・標本サイズが小さい=短期~中期的にみる(1年で資産がー10%または+20%になった)

ほかには、商品の正確な評価が知りたい場合は‥
・標本サイズが大きい→レビュー件数が多いものを選ぶことで、より正確な評価や情報が得られる
・標本サイズが小さい→レビュー件数が少ないと情報のかたよりが起こり、正確な評価や情報が得られない

比べるもの(サンプル)が少なすぎると、極端な結果になりがち‥ということだね

余談ですが‥
私は よく息抜きにデジタル麻雀ゲームをします(ゲーム歴5年)。
※麻雀は判断力も必要ですが、運の要素が強いゲームです
勝ち負けするたびに、反省という名の因果関係さがしをていました‥(^^;)

成績が平均に回帰するなら、プレイスタイル(プロがすすめる自分ルールみたいなもの)を1つ決めて、半自動的に勝負に挑んだ方が、長期的な勝率が上がるということですね。
例:基本は早上がりスタイルで、点数が1位(または2位)に届かない時のみ、メンゼンで高得点を狙う‥のような

ちなみに、麻雀は上がり続けていれば負けないゲームなので、いつも早上がりを目指しています

確率より、ストーリー性・もっともらしさを好む心理

書籍には、以下のリンダという人物に どれが当てはまりそうか?‥8つの中から確率が高いものを選んでくださいと書かれていました。

リンダの人物描写↓

リンダは、
・31歳の独身女性
・外交的で大変聡明である
・専攻は哲学だった
・学生時代には、差別や社会正義の問題に強い関心を持っていた
・また、反核運動に参加したこともある

ファスト&スロー上巻より

選択肢8つ↓

①リンダは小学校の先生である
②リンダは書店員で、ヨガを習っている
③リンダはフェミニスト運動の活動家である
④リンダは精神医学のソーシャルワーカーである
⑤リンダは女性有権者同盟のメンバーである
⑥リンダは銀行員である
⑦リンダは保険の営業をしている
⑧リンダは銀行員で、フェミニスト運動の活動家である

ファスト&スロー上巻より

うーん、リンダさんは優秀そうで、スポーツも好きそうだし、フェミニストっぽいイメージだね。
個人的に思うのは②③④⑤⑧かな。

人物描写を無視して確率のみでみると、こんなイメージです。

じつは、この問題に着目すべきは⑥と⑧。
⑥リンダは銀行員である
⑧リンダは銀行員で、フェミニスト運動の活動家である

多くの人は⑥である可能性より、⑧である可能性が高いと考える。
なぜなら前述している人物描写があるから、確率のことは無視されている。分子だけをみて、分母をみない。
確率だけを見れば、フェミニスト銀行員である可能性は、銀行員である可能性を必ず下回るとわかる。

文章による人物描写(ストーリー性・色々な情報)が加わると、フェミニスト銀行員の方がもっともらしく見える。
つまり、くわしい情報を加えれば、シナリオはもっともらしくなるが、確率は下がってしまう。

不思議だね‥

逆に、広告などで使うコピーライティングは、文章やストーリーを加えて「もっともらしさ」を上げていると言えますね

正しく判断できる「比較」思考

それぞれを比較させて考えると、判断は正確になる可能性がある。

書籍に書かれていた実験↓

・食器類の在庫一掃セール「ディナーセットA」「ディナーセットB」に値段をつけてもらう
・ディナーセットは通常、定価30~60ドルで販売されている
・参加者は3つのグループに分けられる
・グループ①は、AとBのセットを「比較」して値段を付けてもらう
・グループ②はAセットに「単独」で値段を付けてもらう
・グループ③はBセットに「単独」で値段を付けてもらう

ファスト&スロー上巻より

ディナーセットの内容↓

ディナーセットA(40ピース)ディナーセットB(24ピース)
大皿8枚良品良品
スープ・サラダ用深皿8枚良品良品
デザート皿8枚良品良品
コーヒーカップ8個2/8個にキズあり
ソーサー8枚7/8キズあり
※キズは通常使用には問題ないレベルと仮定します

セットAにはセットBに含まれている食器がすべて入っている上に、無傷のコーヒーカップやソーサーも入っている。
だから、必ずAセットの方が価値が高くなるはず。

値段付けの結果は、
グループ①(比較評価):セットAに32ドル、セットBに30ドル
グループ②(単独評価):セットAに23ドル
グループ③(単独評価):セットBに33ドル

・・となりました。

ええー、どう考えてもセットAの方がお得じゃん!

基本的には、セットというものはきちんと数がそろって、見本通りのものだと認識されている。
セットAに含まれているキズが入った食器には、金を出したくないという心理が働くと考えられている。

この実験から分かることは‥
買い手側:商品を比較検討をすると、より正しい判断ができる
売り手側:キズが入っている商品を取り除いた方が、高値で売れる(比較品がない場合)

売り手側は、良かれと思ってセットに多めに食器を入れても、値段が下がっちゃう(もしくは高い)と買い手側に判断されちゃうんですね‥

比較することで、

ある集合が別の集合に、そっくり含まれることが理解されやすくなる

ファスト&スロー上巻より

比較するときは、「集合」で考えること。

人の判断より、数式(アルゴリズム)に当てはめた方が正確になる?

書籍では、高級ワインの話が紹介されていました。
入手しやすい生産年の情報から、高級ボルドー・ワインの「品質」を予測する。
品質が良い=将来の価格が高い・・と予測できるので、値上がりを見込んでワインを買う投資家が大勢いるそうです。

・一般に、生産年によって品質が異なるのは、ブドウの生育期における気象条件が原因と考えられている
・夏が暑くて乾燥している年は、ワインのできが良い
・また、春に雨が多いと、質を落とすことなく収穫量が増える

たった3つの要因に当てはめる計算式
夏の生育期の平均気温×収穫期の降雨量×前年冬の降雨量=ワインの品質や価格

ファスト&スロー上巻より

この式を使うことで、ワインの専門家たちの予測より、数年~数十年先の価格を正確に予測することができたとされています。
※ワインの専門家は、熟成前の若いワインの現行価格から予測している

計算式に当てはめて考えた場合、予想価格と実際の価格との相関係数は、0.90を上回っていた。

なぜ、専門家は単純な計算式(アルゴリズム)に負けてしまうのか?
これは前の方で紹介している書籍「決定力!」に書かれていた自信過剰が原因だと推測されています。

自分はこのケースについて特別な情報を持っているのだから計算など不要だ、と考えてしまうらしい。だが、大体は失敗に終わる。
(中略)
計算式より自分の判断に従った方がよいケースは、ほとんど存在しないという。

ファスト&スロー上巻より

もう1つ、おもしろい例では、採用面接でハロー効果を防ぐ方法が解説されていました。
※ハロー効果とは、最初の印象が後の印象に左右される現象こと。
例:面接の応募者が清潔感あって、マジメそう→仕事もできそうだな‥というイメージ等

ハロー効果が判断を誤らすこともある。
上記の例だと、見た目が清潔感あってマジメそうだが、実際に仕事を任せてみたら、時間にルーズで締切を守らない人だった‥という場合もあります。

採用面接におけるハロー効果を防ぐには、

・採点方式を採用する
・つぎの質問に進む前に評価する、また質問を飛ばしてはいけない
・合格点が最も高い応募者を採用すること、この点は強く心に決めなければならない
・他に気に入った応募者がいても、そちらを選んではいけない。順位を変えたくなる誘惑に断固抵抗しなければいけないのである

ファスト&スロー上巻より

たとえば、
・応募者を各項目で5段階評価する
・見た目、受け答え、今までの実績、所持している資格など(項目は職種によって変える)
・総合得点が、もっとも高い応募者を採用する
・気分や雰囲気、好みだけで選んではいけない
・・こんな感じでしょうか。

ただし、直感的な判断も軽視してはいけないとされています。
客観的な情報を厳密な方法で収集し、ルールを守って個別に評価した後で‥という条件付ですが。

採点方式の面接では、面接官が「自分たちはロボットか?(。-`ω-)」‥と不満を持つ方もいたそうです。

書籍では、兵士(戦闘任務への適正)の面接の話がされていました。

「面接は指示通りに確実に実行してください。そして最後に、あなた方の希望通りにしましょう。目を閉じて、兵士になった新兵を想像してください。そして5段階でスコアを付けてください」

ファスト&スロー上巻より

この結果、面接官が行う直感的判断も、非常によい成績だったそうです。
採点の計算処理と同じくらいの精度で。

つまり、「客観」と「直感」の組み合わせで、より良い判断ができるということね

長くなるので、ここでは説明しませんが、判断を誤らす「認知バイアス」にも注意が必要ですね(^^;)
※自分にとって都合のよい情報ばかり集めて、都合の悪い情報は無視する心理

まとめ:統計学って難しいけど、大事ですね

・簡単な答えに飛びついてしまう人間の心理を知ること
・セルフコントロールを回復させると、自分自身と戦える
・規則性を見つけても、ランダム性=運の可能性を忘れないこと
・因果関係を探ろうとしても、平均への回帰を忘れないこと
・数式に当てはめる(客観)と自分の予測(直感)の組み合わせは最強

ファスト&スロー上巻は難しい内容も多いですが、とても勉強になりました(^^)
上巻だけで400ページ近くありますが、気になった部分だけ斜め読みしてもいいかもしれません。
人生において役立つ内容です。

下巻も読みました↓

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