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データスポーツって実際どうなの?仕事にも応用できる?【マネー・ボール書評】

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スポーツ漫画やバトル漫画などで、データマンみたいなデータ分析に特化したキャラが出てくると思います。

テニスの王子様だったら乾みたいなキャラのことだね

達人や専門家の「直感・経験則」と「データに基づいた判断」では、平均的にどちらの精度が高いか?
マネー・ボールという野球を題材にしたデータ分析で判断するメリットについて書かれた書籍を読みました。

書籍内の結論を先にいえば、達人の直感より頭のいい素人のデータ分析の方が精度が高いという結果が出ています。
「頭のいい素人」という点が肝心。

この記事の執筆者的には「多様性の科学」「ファスト&スロー」という書籍を前に読んでいたので、わりと予想通りですが他にも面白い内容があったので紹介します

この記事で紹介すること

・米国プロ野球(メジャーリーグ)の世界では選手の「性格」まで判断基準にされている?
・金がない球団が資金が潤沢にある球団に勝つためには どうしたらいいのか?
・本当に有望な選手とは どんな選手なのか?
・野球においては身体能力よりメンタル面の方が重要
・野球のことをまったく知らないインテリ系の人が見えてるもの
・野球と選手の評価基準を改めて考える

※この記事では書籍のネタバレを含みます
※この記事の執筆者が面白かった部分のみ紹介しています
※あと最低限「野球のルール」を知らないと書籍に書かれている内容の意味がわからない可能性が高いので注意(この記事では野球のルールをほぼ説明していませんので ご了承ください)

※この記事の執筆者は野球ガチ勢ではありませんが子供のころにリアル野球をしたことがありますし、プロ野球中継をみたことがありますし、パワフルプロ野球というゲームを遊んだことがあるので、ある程度のルールは知っています

ちょっと前に読んだ野球界のレジェンド「イチロー選手」の最近のデータ野球はつまらない?の記事も一緒にどうぞ↓

https://togetter.com/li/2485762

目次

米国プロ野球(メジャーリーガー)の世界では選手の「性格」まで判断基準にされている?

・あまり馬鹿では野球選手に向かない
・あまり賢すぎても向かない
・賢すぎるという理由で却下される選手が今後、大勢出てくる

これは何となくわかるな‥ゼークトの組織論みたいな話だよね
野球はチームプレーだし「無能な働き者」は組織を壊しかねないし

無能な働き者:正しい判断や行動ができないにも関わらず、自分勝手に良かれと思って判断や行動をするタイプの人のこと、大きな損害を出すこともしばしば。
無能な怠け者:正しい判断や行動はできないが、素直(考えるのが面倒?)なので判断力のある人に従うタイプ

ゼークトの組織論について↓
https://schoo.jp/biz/column/1762

書籍を読んで、ゼークトの組織論的にいうなら「無能な怠け者」タイプが野球選手に向いているという感じですね

球団側は選手の性格まで疑ってかかっていること。
そして、大金を注ぎ込もうかという相手を実はそれほどよく知らないことだ。

マネー・ボールより

資金力の乏しいオークランド・アスレチック(メジャー球団・この書籍の主人公的な球団です)のスカウトたちが選手を選抜するときに考えていることです。
※オークランド・アスレチックは選手の総年俸が下から数えた方が早いが、レギュラーシーズンの勝利数は資金力ある球団凌いで数年つねにトップを保っている(この書籍の執筆時点では)

この記事の執筆者はパワフルプロ野球というゲームをよくやっていたので、なんとなく分かりますが‥いわゆる「盤上の駒=無能な怠け者」として使える人物でないとチームでやるスポーツには向かないのかもしれません。

後で出てきますが‥
この書籍の中心的人物ビリー・ビーンという若いころのスター選手は、いわゆる無能な怠け者タイプではなかったので自分は野球に向いた性格ではないと自分で言っていますね。
※ビリー・ビーンという人物はこの書籍の主人公的な人物で、野球ふくむスポーツ全般に対する身体能力や知能も高いが、「キレやすく、メンタルコントロールが下手」だったという

あと、アスレチックスでは選手の犯罪歴や学業成績も判断材料にされているようです。
※日本では高校球児を卒業後にスカウトすることが多いですが、アスレチックスは大学球児が主なスカウト対象のようです

金がない球団が資金が潤沢にある球団に勝つためには どうしたらいいか?

イチロー・大谷翔平・ダルビッシュ有、昔の選手も含むなら王貞治・長嶋茂雄など誰からみても有名でスター(だった)選手たちがいます。
おそらく、いまの日本の高校球児にもスカウトから目を付けられている(スカウトたちに夢を見させてくれる)選手が大勢いる。

しかし、そんな未来のスター選手はどこの球団からも引っ張りだこだし、年俸も吊り上がっている場合が多い。
そこで今までの(高校や大学での)試合データに着目して、あるデータの成績がよく、誰にも目を付けられていないような選手を低年俸でスカウトする作戦を取るのがオークランド・アスレチックス。
※もちろん、前述した選手の性格分析に合格した者のみ

・打率
・盗塁率
・得点率
・守備力
・・など野球には色んな指標がありますが、打者として良い選手を低年俸でスカウトするなら どの指標に着目すべきでしょうか?

この書籍と関係ないけど、陸上競技みたいな「記録」が付くようなスポーツだと野球みたいな面倒なことを考えなくてよさそうだよね

短距離走や砲丸投げ、高跳びなどは、1番速い・遠く・高い記録が出せる選手が優秀。
野球だと守備と攻撃があるし、チームプレーなので評価が複雑にならざるを得ない。

打者の場合、打つ選手より「出塁率」がいい選手の方が有望だった?

書籍では打率ではなく「四球」の数に着目しています。
四球を選ぶ選手というのは出塁率が高いだけではなく、ボール球に手を出さない、つまり選球眼がある者という意味でもある。
四球数に着目する球団は未だかつてなかったそうです。

選球眼は訓練では鍛えにくいと書籍で言われているね‥
選球眼があるかどうかは生まれつきのメンタルの強さという感じだろうか?

少し長いですが、オークランド・アスレチックスの旧来のスカウトとビリーたちの話の引用↓

過去の記録を調べ上げ、アマチュアからメジャーリーガーになれた選手と、なれなかった選手を比較して、その原因を追求したということもスカウトたちには特に告げていない。
足の速さ、守備の上手さ、身体能力の高さは、とかく過大評価されがちだ。
(中略)
ストライクゾーンをコントロールできる能力こそが、実は将来成功する可能性と最も つながりが深い。
ストライクゾーンを操る術を身につけているかどうか最も分かりやすい指標が四球の数なのだ。
(中略)
大学時代に選球眼がいい選手は大抵プロに入っても選球眼がいい
ボール球に手を出す選手をプロ入り後に調整できるかと言うと、どうも無理らしく、とすれば選球眼は生まれつきの問題なのかもしれない。

マネー・ボールより

プレッシャーのかかる場面でもマイペースにプレイできる選手が強い感じなんですかね?

さらに、判明したところによると出塁の才能は例えば、ホームランを打つ才能に比べ、現役の終わりころまで長続きするそうです。
四球による出塁が多い選手は年齢を重ねるにつれて、さらに多く四球を選ぶ。

選球眼は才能だけど、才能ある人は続けていく内に さらに鍛えられるという感じか‥

ホームランを打つにはパワーが必要(=パワーは年齢を重ねると衰える)ですが、本来のメンタル力≒遺伝子は変わらないと言われていますしね↓

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まぁ、球をみるための動体視力は年齢を重ねると衰えないのか?の疑問はありますが‥(^^;)

今までの内容をまとめると、プロ野球選手に向いている人物は‥
・犯罪歴がなく、学業成績は普通くらいでOK
・盤上の駒(無能な怠け者)タイプの性格→素直な性格
・どんな時もマイペースにプレーできるメンタルの強さがある
・スポーツ向きの高い身体能力は必ずしも必要ない(まったくないのも困ると思うが‥)

こうしてみると、社会や組織で生きていく上での能力が高い人という感じですね。サラリーマンタイプというべきか

従来のスカウトたちは身体能力が高く、スカウトたちに夢を見させてくれる選手を雇いたい。
パワプロみたいなゲームだと選手の能力が数値化されているので、このような考えにはなりにくそうですが、リアル野球だと この記事の執筆者も旧来のスカウトたちと似た考えになってしまいそうです。

事実、「四球数」に着目したビリー・ビーンと他のスカウトたちの間で意見の対立が起こっていたようです。

野球のことをまったく知らないインテリ系の人が見えてるもの

野球の専門家や経験者は「野球に関しては」盲目的になりやすい。

以前読んだ多様性の科学にも似たようなことが書かれていましたが、どうしても上手くいかない袋小路に陥ったとき、助けになるのがまったく別分野の専門家別分野のインテリ系の方々です。
多様性の科学ではチーム成績がふるわなくなったサッカーチームの監督に、多様性の科学の執筆者・女性軍士官・IT起業家・教育専門家・ロードレースチームのゼネラルマネージャー・ラグビーのヘッドコーチなどが自分たちが「当たり前に」やっていることを教えていました。

その場にいた人々(全員優秀と言われてる方々)は、「そんな考え・やり方もあるのか!」「思いつかなかった!」と感心していましたね。

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マネー・ボールの書籍で書かれていた古い価値観の野球人スカウトたちはというと‥
確率論を解いても頭を混乱させてしまうだけだから、データ重視型のビリー・ビーンは何も説明しないと言っています。

人のこと言えないけど・・達人や熟練者たちにとっては自己流が何より大事だからね

プロのスカウトという選手を見定める「達人」でさえ、ハロー効果(見た目の効果)に惑わされてしまうんですね‥

そんな中、客観データに基づいて優秀な選手だと判断したらビリー・ビーンはとことん意志を曲げないそうです↓
・データを冷静に分析すれば、スカウトの偏見に惑わされずに済む
・スカウトたちは、例えば「背が低い、右投げ投手」を見くびってしまう
・出塁率が高くても、痩せすぎで小柄な選手だと評価しない、そして太った野手も

ゆえに、データ分析で採用や評価をしたいビリーと、古い価値観の野球人スカウトたちの間で意見が食い違うことも多かったそうです。

選手がどう見えるか、将来どうなりそうかといった主観的な評価よりも、現実にどんな成績を残しているかが重要なのだ。
(中略)
野球を全く知らない人間からすれば、むしろこの考え方が当たり前に思えるかもしれないが、球界の現場では逆に異端派に属する。

マナー・ボールより

伝統を守りたがるスカウトたちはデータ重視の流儀を「実績重視型」と呼ぶそうです。

保守派vs革新派みたいだね‥
これは球界だけじゃなく、色んな所でありふれてそうな対立関係じゃないかね?

新人選手は、あくまで心の目で見て評価すべきというのは旧来の野球人の常識だ。
なのにビリーらは野球選手の大事な部分はほぼ全て、場合によっては性格までもデータの中に見いだせると断言する‥と書かれています。

前の方でも少し触れていますが、パワフルプロ野球というゲームは全ての選手に「走力:S」「肩力:B」「弾道:4」などパラメータ化されています。
プレイヤーが監督&オーナーとしてオリジナルチームを組んだり、操作もできる。
ちなみに選手の性格パラメータもあって、試合時や育成時に有利になったり不利になったりする。リアリティがあって面白いゲームです(^^)

筆者がよくプレイしていたのはスーファミやPS2時代ですが、最新版2024-2025も出ていますね↓

余談ですが、この記事の執筆者が実家にいたころ、オリンピック女子バレーで「データバレー」が主流になっていましたが、この書籍で書かれていることと似た感じなんですかね?
ただ、データバレーはスカウトではなく、戦術で使っていたようですが‥。

保守派と革新派の対立は旧来野球人の「自分たちの存在の危機」からですよね→実際に書籍の後の方にも書いてある。
データ分析で良い選手を取れるなら、統計学者を雇えばいいということになりますし、目で見て判断するスカウトは必要なくなる

あと、個人的には目で見て判断はギャンブルをしてる感覚に近い印象がありますね。
ギャンブル=ドーパミンがドバドバ出る→快楽やワクワクする。
これは個人でする買い物にも例えられる話だと思いました。
この記事の執筆者も見た目(感情論)より、商品説明+他の人のレビュー(論理)+買ったら自分にどんなメリットがあるか?良く検討した商品の方が買って良かったもの・今でも使い続けているものに入る確率が高かったです。
※感情論で判断したものが良かったときもあったが回数は少ない

ビリー・ビーンの優秀なところは自分が持っていないものを持っている優秀な人をスカウトとして雇ったことですね。
野球には詳しくないけど、データ分析に長けた者たちを何人か雇ったこと。

ビリー・ビーン自身はスポーツに対する身体能力が高く、スカウトや周りからチヤホヤされて育ったのに、自身がスカウトする立場になった時、それらを全部捨ててデータだけを見るという判断をした。

ちなみにビリーは自分はプレッシャーに弱いという弱点を思い知ったので、(自分は野球に向いていないという理由で)早々に球界から引退し、スカウト側にまわったと書かれているね

書籍には、ビリーがまだ どこにもスカウトされていない若いころ、ビリーはスカウトたちに夢を見させてくれる選手だったと言われています。
そんなスカウトたちに夢を見させてくれる金の卵の選手たちは「その後どうなったのか?」と、ビリーは旧来の野球人に質問すると黙り込む。つまり、ほとんどが成功してないという結果が出ている

実際の野球には詳しくない、この記事の執筆者ですが‥有名どころの日本球児たち(金の卵)をみてみると、成功しているかどうかは半々という感じじゃないでしょうかね?
たとえば、高校生時代から注目されていた大谷選手・ダルビッシュ選手などは成功していると思いますし、高校生のときはチヤホヤされて、ドラフト1位指名された選手で落ちぶれて行った選手も知っていますし。

ダニエル・カーネマンのファスト&スローという書籍で採用面接するとき、データ(その人の数値化できる能力)と直感の組み合わせで、判断力がアップするという話がありました。

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個人的にはダニエル・カーネマンの考えが正しそうです。直感と論理(データ)→2つの集合知という意味でも。

特に野球においては身体能力よりメンタル面の方が重要?

メンタルはスポーツにどれだけ影響するのか?
書籍では野球は身体能力の高さより、メンタルの方が重要だと語られています。

もちろん、スポーツのプロになるのに運動神経が0なのも困るだろうけど‥メンタル>身体能力って感じだね

球団側はどうも理解してくれないのですが、能力の高い選手の中には失敗と上手く付き合っていけない人間がいるのです

マネー・ボールより

過去の色んなプロスポーツ選手たちを見てると、身に覚えが結構ありますね‥(^^;)
バレーボール選手だったり、フィギュアスケート選手だったり、テニス選手だったり。
メンタルって鍛えにくい天賦の才(遺伝子の影響)みたいなもの。スポーツだけじゃなく、人間関係や仕事でも使える便利な能力ですし。

下記の書籍によると元々、普通~強いメンタルを持っている人が「環境」の影響で弱ってしまうことがあるそうです。病気をともなっていない+環境が良くなればメンタルが改善する場合が多いらしい↓

失敗の大切さは「失敗の科学」という書籍でも語られています。
こちらの書籍も義務教育で教えるべき内容だと思ったので興味がある方は、ぜひ読んでみてください↓

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・選手は自分に才能があると信じていながら自分自身を信じていない
・己をデータばかりで評価しようとする→データは大事ですよね?
・数字が悪いと自分に0点をつける
・0では実体のつかみようがない
0ではストレスを前向きに克服するような心理的対処メカニズムが働かない

データ分析は大事だと思いますが‥いわゆる0か100かの思考に陥っている感じでしょうかね‥?

失敗をつぎに生かすためには「良かった点(改善する必要がない点)」と「悪かった点(改善が必要な点)」を直視して切りわけて分析する必要がありますしね。

この「前向き」「後向き」という思考のクセは前の方でも言っている遺伝も関係ありそうだね、次点で育ってきた環境

ビリーは若いころ、身体能力的にはプロスポーツ選手向きだったがメンタルが弱く、失敗と向き合うのが苦手だった→打席で三振するとキレ散らかしていた。
ちなみに、ビリーはスポーツが得意で頭も良く、女性にもモテていたそうです。
プロ入りをする前は どのスポーツをやってもスターだったが、メジャーに入ってからは成績にムラがあった。
※身体能力が高い=メンタルが弱いわけではない、世の中には この2つの才能を持ってる人もいる

ビリーは現役時代に何ごとにも動じなく、メンタルが強いルームメートを見て、自分との差に気づいたそうです。自分は野球選手には向いていないと。
なので、プロ野球選手としては かなり若いときに現役を引退し、スカウトに転身したと書籍に書かれています。
結果に繋がらない才能なんて、才能とは呼べないと。

メンタルが強い人=失敗を分析できる人というのは、今がダメでも これから伸びていくポテンシャルがある。
一方、能力が高くてもメンタルが弱い人は停滞しやすいという特徴がある感じですね。

メンタルの強弱が遺伝の影響を受ける説が正しいのなら、遺伝によるメンタル力を測るテストが欲しいところ(この記事の執筆者も受けたい)。
遺伝的には強いメンタルを持っていても環境の影響でメンタルが弱っている人もいるだろうし、病気のせいで弱ってる人もいるだろうし、遺伝は甘え→努力が足りないと考えている人もいるだろうし。

それぞれの能力の「上限値」を知っていれば、これからの人生での選択(無駄な努力の回避)がしやすくなるのに‥

後ろ向きな考えではなく、自分に合った方向に行きやすくなるという意味で。

どのデータを参照する?→評価基準が正しくないと判断を誤る

過去の試合データを調べた結果、試合中の戦術から選手の評価方法まで全てを科学的にやっていく方が有利という証拠が得られた・・と書籍に書かれています。
データをもっと科学的に分析すれば、根拠のない通説に惑わされずに済む

・たとえば得点力を評価する場合、チームの平均打率に注目するのがこれまでの常識だった
・ところが冷静に比較分析してみると、チームの総得点と平均打率は関連が薄い
・むしろ「出塁率」や「長打率」の方が総得点に密接につながりを持っている
・監督のサインプレー(バント・盗塁・ヒット&ラン)などは大抵、的外れか自滅行為だと分かった
・監督が こういう作戦に出るのは我が身が安全だからだ
・失敗しても監督は非難を受けない

個人の得点力に関しては「そうだろうなぁ‥」と予想ができますね↓
・ヒットを打って得点が入るのは、前に出塁した人がいるから(単独ホームランを除く)
・ホームランを打って2点以上入るのは、前に出塁した人がいるから
つまり出塁した人がいるから得点になる、ホームランを打つ(長打)から得点になるという事
3番、4番、5番打者の得点率が高いのは当たり前ということになる(1番2番に出塁率が高い人を置いているのだから)

打席に立った時に走者がいるかどうかなど、スコアブックに埋め込まれた数々の小さな不公平誤解が効率の悪い戦術や誤った選手評価につながった。

いまの球界のことはわからないけど、1番打者や2番打者(6~9番打者も)が正しく評価されるといいね

野球だけじゃないですが、こういう正しく評価されない人たちって社会でもいっぱいいるんですよね‥

会社でも人事評価って難しですもね。
営業職1つとっても、成績を上げてる営業マンがいる一方で、裏で支えてる事務職の人たちがいる。
営業マンの成績はわかりやすく数字化できますが、事務職の活躍は評価されないことも多い。
現状としては「チームで」成績がいい場合に評価すべきでしょうかね‥?

書籍でも、こんなことが書かれています↓

三万人の観客と数百万人のテレビ視聴者が見守る中、選手をまったく間違って値踏みするなどということが堂々と行われているとすれば、他の目立たない業界では なおさら個人の価値がいい加減に扱われているのではあるまいか?
華々しいメジャーリーガーでさえ、過大評価されたり、過小評価されたりしているのならそうでない人間がいるのだろうか?
もしかすると、野球選手を格付けするために使われているデータは、まだ正確な方で野球以外の分野の人々はもっと とんでもない尺度で測られているのかもしれない。

マネー・ボールより

創作界隈でも、こういう目立たないけど とんでもない実力を持った人や役立つ情報を発信してくれてる方々がいる。
この記事の執筆者も実力があったり、役立つ情報を共有してくれたりするけど目立たない人を見つけたら積極的に宣伝していきます→もうすでにやってるけど・・(^^;)

野球場は劇場だ。
しかし、個々のプレーを正しく理解しない限り、役者の上手さを堪能することはできない
プレイの意味は、測定方法が明確であってこそ浮き彫りになる。

マネー・ボールより

野球の守備についても言及されています。

①打者が打ったライナーを飛び込み飛び込みキャッチした三塁手がいた場合、観客はファインプレーだと三塁手に拍手する
②しかし、三塁手が打者の傾向(右打者で引っ張りクセがあるなど)を予測して、あらかじめ飛球しそうな場所に寄っていた場合
今度は普通にキャッチできるが、観客からの拍手は起こらない

①と②を比較した場合、実際には どちらの三塁手もファインプレーですが、どちらが凄いかと言われれば②ですよね(演劇なら①の方が感動するだろうけど)。
つまり、野球の選手や試合をきちんと評価するためには「肉眼」だけでは無理がある

正しい評価とは?~スポーツ以外にも参考になるかも?

打撃の評価は「選手が狙い通りに成功したケース」や「得点を入れようとして入れたケース」だけを対象にすべきである。
ところが これを認識してる人間は驚くほど少ない。
メジャーリーグが公式発表する攻撃データにしても一番上に乗っている、すなわち最も評価が高いのは得点が多いチームではなく「平均打率が高いチーム」だ。
しかし、当然ながら攻撃の真の目的は打率を上げることではない。

マネー・ボールより

みんなが「分かりやすくて目立つ項目」や「分かりやすい数字」に飛びついている感じでしょうかね?

野球以外の話だと‥
本当に欲しいのは「結果=勝利数」なのに、労力に反して結果が伴わないと「過程・努力」を称賛するような話も似たような感じか?

まず野球で勝利するためにはどうしたらいいかを考える?→相手より「得点」を入れること→得点はどうやったら入る?→ヒットや四球(または死球)で出塁するか、ホームランを打つこと

上記の他にも考えなければいけないことが沢山あります。
・勝利には守備力や盗塁、バントがどのくらい重要か?
・選手のどんな行動がチームの勝利に貢献しているか?またはしていないか?
・つまりシングルヒット、ツーベースヒット、盗塁、四球、アウトにどんな比重を付けるか?

正しい評価は「期待値の計算式」を使う

書籍では、シングルヒット、ツーベースヒット、盗塁、四球、アウトなどに「どんな比重を付けるか?」→「どんな変数を等式に代入すれば得点数と釣り合うか?」の方法が紹介されていました。
下記は「得点公式」と名付けられています。

最初の完成形はこうだ。
得点数=(安打数+四球数)×塁打数÷(打数 + 四球数)
まだ検証の余地があり、この時点では数学的な仮説とも呼ぶべきだろう。
(中略)
色々なチームの過去のシーズン記録を代入し、実際の得点数と本当に合うかを確認していけばいい。
その意味では過去を言い当てられるかどうか挑むに等しい。

マネー・ボールより

上記の得点公式は(まだまだ作りは甘い部分もあるが)ほぼ正確な結果が出せたと言われています。

書籍でも散々言われているけど、「得点を入れる=勝利」に重要なのは「四球数・安打数・長打数=出塁率」、つまり上の数式に出てくる項目だね

※長打とは、二塁打・三塁打・本塁打のこと

ほかには、(統計学観点からいうと)盗塁、アウトが1つ付いてしまうバントや犠打は無駄死に等しいくらい無意味だと言われていますね

それくらい1アウトには、勝利にマイナスな要因があるということ。

こんな評価でいいのか?~誰を貶して、誰を褒めるべきなのか

こんな例が紹介されています。

・例えば、2アウト、走者二塁の場面
・ピッチャーが素晴らしい球を投げる
・打者はレフトにフラフラとフライを打ち上げる
・普通なら取れそうな打球だが、レフトを守っているA選手は守備が悪い
・落下点に入るのが遅く、バックホームへの送球も良くない
・事前に そう心得ていた二塁ランナーはスタートを切り、本塁に向かって生還
しかし、このケースで記録されるデータは打者に打点1・投手に失点 1
・A選手はお咎めなしだし、走者は特に褒められることもない、つまり不公平
・投手と走者はよくやったと称えられるべきだし、打者とレフトは しくじったとみなされるべきだろう
・打者はアウトでもおかしくなかった
・A選手は本当ならエラーをつけられても文句は言えない
・ヒットを許したどころか敵に得点を与えてしまっている

誰を褒めて、誰を貶さなければならないのか?

書籍でも触れられているけど、野球だけじゃなくて、あらゆる業種や場面で このような不公平がまかり通っているよね

選手個々人を正確に評価したかったら、(旧来の)スコアブックに記されている記録だけでは判断ができない。
選手のあらゆるプレーや状況に関して、さらにプレイが行われた球場に関しての情報の手直しが必要。

聞いていると気が遠くなる作業ですね‥ビリー・ビーン率いるアスレチックスは それをやってのけていますけど

だから一般職の人事評価とかも「どれだけ残業をしたか?」「営業成績がいいか?」で判断しがちなんですね‥(^^;)

自分が会社の経営者だったら・・
①効率的に作業を終わらせれて残業しない人>非効率で残業する人
②営業成績が良い人=その営業を支えている人(雑務をこなす人)
・・となりますが、正確に判断できるかと言われれば難しい。

①の場合、個々人で仕事量の不公平があるかもしれないし、あらゆる場面で作業を中断させられる部署にいるのかもしれない(医療職は特に その傾向がある)。
正確に評価する場合、考えるべきことが沢山ある。だから簡単な数字ばかり参照しちゃいそうです。
※②に関してはチームで見た時の成績が良いと判断すると、ある程度正しい評価もできるようになるかもしれません(ただし①での疑問点もあるので、やはり正確に評価するのは難しい)

確率論か?見世物か?

野球は確率論的な思考をうながす「連続メロドラマなんです」と実際に野球をプレーしたことがない野球ファン(研究者)が言っていました。

前の方で言っていたイチローの話もありますが‥
野球をプレーしたことがない人たちは統計学や期待値(データ)で野球を研究することに抵抗はなさそうですが、実際に野球をプレーしている人たちにとっては抵抗がありそうな話ではあります。

統計学や期待値の活用が勝利に有利だという証拠が示されても・・
・実際に野球をプレーしている人たち→やりがい・収入>チームの勝利
・実際に野球をプレーしたことがない人(ファン)→チームの勝利を求めるので統計学を推す?
※実際に野球をプレーしたことがないファンでも推し選手がいる場合は、チームの勝利より、その選手の活躍を願っている場合もある

でも野球ファンの中にも見世物的なもの(ショーや劇など)を求めているような人たちがいて、統計学を嫌がる可能性はありますね‥(^^;)
野球などスポーツ界隈だけじゃなくて、クリエイティブ界隈にも多分たくさんいる。

ともあれ、統計学を使うことで「チームに貢献した選手」や「チームに貢献できる能力を持っている選手」を正確に割り出せるようになる
つまり、書籍のメイン人物でゼネラルマネージャーを務めているビリー・ビーンはここに目を付けて、目立たないがチームの勝利に貢献できる選手、かつ報酬が安くて済む選手を手当たり次第発掘していきます。

確率論者が球団経営しようとしても上手くいかない理由

書籍では株投資が上手い投資家の話が紹介されていました。概要はこんな感じです↓

・ジョン・ヘンリーという株式市場で頭脳を働かせて(データを駆使して)富を築いた男性
・彼はフロリダ・マーリンズという球団を買い取った
・株での経験からデータ分析を駆使すれば効率の向上が図れると理解していた
・彼はこう言う「株式市場では、個人の認識や思い込みよりも日々のデータの方が尊い、野球だって同じです」
・彼は前述の得点公式を発見した人物(ビル・ジェームス氏)の野球論小冊子の愛読者だった
・さらにジェームス流の野球論を使い、野球経営シミュレーションゲームもプレイし続けた
このゲームでは楽勝で毎年勝てていた
だが、所有する現実の球団はジェームズのやり方を相変わらず無視していた
だから楽勝ではなく98敗という惨憺(さんたん)たる成績を残して、ヘンリーの自尊心を打ち砕いた
・ヘンリーの前に立ちはだかっていたのは社会的・政治的な壁だった
・いくら弱小球団とはいえ、プロ野球経験のない彼が監督やスカウトや選手を差し置いて、全く新しい野球術を押し付けるわけにはいかない
・そんなことをしたら球団内で孤立してしまう
・何のために球団を買ったのか分からない
ビル・ジェームスの野球論は一般大衆に受け入れられたが反面、野球に一番関心を持つはずの球団運営者にはほとんど読まれなかった

将棋みたいな盤上ゲームをプレイしていて、駒がいうことを聞いてくれないみたいなイメージですかね‥?

その点、メージャーリーガーまで行った この書籍の主役ビリー・ビーンは最強だよね
本人がプロ野球経験があり、現在の野球人にも影響を与えれる

ビリーは球団オーナーではないですが、球団運営をゼネラルマネージャーとしてほぼ任されています。
ビリーはメンタルが弱く、キレやすい性格。
さらに書籍の後の方では、(労働者階級からみたら)クズっぽい発言もしています。
球界かつ米国なら実力のない選手のクビは当たり前なのかもしれませんが、データをみて容赦なく切り捨てていくスタイルは、いつかクビになった選手に刺されそうな気がしてならない‥(^^;)
ビリーみたいな人が人情を捨てれるタイプが経営に向いているのは、その通りですがね。

ちょっと余談ですが‥この記事の執筆者はイラスト界隈をよく見てるので分かりますが、イラスト界隈でも新しい技術であるAI機能を拒絶する方々がいます。
※イラスト系AI技術を積極的に研究&駆使しているのは今まで絵を描いたことがない人たち中心ですが、積極的にAI技術を採用している絵描きさん(手描き経験があるプロなど)も、もちろんいます

メジャーと似たようなことがイラスト界隈でも起こっていますね。

金のない球団は良い選手を安く使いたい~想像力の欠如は敵

選手のスカウトは株式市場の「投資」と同じだと書籍で言われています。

・想像力の欠如は投資の効率性を損なう
・見た目だけで判断して、ある一団をごっそり除外してしまっては有能な人材を見つけるのは難しい
・今までいくら 成績を上げても「注釈付き」でしか評価してもらえなかった選手たちを見つけ出す
・注釈には決まってこう書いてある、この人物はメジャーリーガーに「見えないので」ろくな活躍を期待できないと

またしても「ハロー効果」、実際の成績より「容姿・体格」で判断されるみたいな・・

書籍ではメジャーリーガーに「見えない」選手として、
身長が低い・太っている・足が遅い・守備が悪い・肩が良くない、投手ならストレートが走らないなどが挙げられていますね

書籍の中心人物であるビリー・ビーンは これらの外見に騙されず、結果とデータだけを参照していました。
あと、自分自身とは違うタイプの選手を見つけたがるという特徴がある。つまり、メンタルが強い選手

さらに一般的には投手としての能力(旧来的には防御率)が高い選手は、スカウトするのに契約金が高い傾向があります。
※クローザー・・最終回に登板して試合を締めくくるピッチャーのこと

・守護神は買うより育てる方が効率がいい
・すでに実績のあるクローザーは当然高い
・市場では投手の価値はセーブ(防御率)というデータによって決まる
・一般にセーブポイントが多いほど優れたクローザーと見なされる
しかし、セーブポイントがつく場面といえば自分がリードしている9回にランナーなしで登場という形が多い
クローザーの真価が本当に問われるのはそんな場面ではない
したがって、セーブポイントというデータは言葉の力を持っていない単なる数字
・なんなら平均よりちょっと上の実力を持つ投手にクローザーを任せ、セーブポイントをたっぷり稼がせて高く 売り払うことだってできる
・株を買った後、偽情報で相場を釣り上げて売却し、たんまり利ザヤを稼ぐというのと実質的には同じ構図
・ビリーはこの手を2回使った 、今後まだまだ使い続けられると思っている
・データ分析が できればそんな事もできるのだ

本当に能力の高いピッチャーは、ピンチの場面でも淡々とアウト(できれば三振が望ましい)が取れるピッチャーってことだね

あとの方でまた出てきますが、「投手の責任(失点や安打、四球など)はどこまでか?」という話題も出てきます

余談:ウォール街で巨額の富を築いた数学者・統計学者・科学者

高度な知識を持つ数学者・統計学者・科学者などは、当時市場全体に占める割合が ごくわずかだった先物取引やオプション取引(金融派生商品・デリバティブと呼ばれた)の仕組みを誰よりも早く理解し、ウォール街で巨額の富を得たそうです。
その結果、勘ではなく定量分析が重んじられるようになった・・とありました。

新世代の意欲的な人々は誰かの効率の悪さが、別の者にとってのチャンスなのだと身にしみて分かった。
古いタイプの人々も頭の良さと金儲けには密接な関係があると改めて思い知った。

マネー・ボールより

・・とはいえ、統計学は一般人からしらた結構難しいんだよね(基礎から学ぶ統計学という書籍を買いつつ)

あと、頭の良さって先ほどの「ハロー効果」みたいなバイアス(思い込み)の罠を理解しているか?も含まれてそうですね

購入してみた統計学を基礎から学べる書籍、まだパラパラ眺めただけですが計算式とかも出てくるので難しそうです(T_T)理解できるか?↓

野球において、守備と打撃どっちが大事なの?

書籍によると、チームの勝利にとっては守備力より打撃(攻撃力)がはるかに重要と言われています。
最高の野手と最低の野手の差は、最高の打者と最低の打者の差に比べて試合結果に及ぼす影響がずっと小さい。
なのに市場の他の人々は、この事実を把握できていないので守備力に必要以上の投資をする。

野球は最終回終了の時点で点数が多い方が勝ちというゲーム(ただし延長戦はある)。
圧倒的な守備力で相手を0点に抑えても、こっちの点数も0点なら勝てないですしね(^^;)
あなたのチームは守備でファインプレーを連発したから勝ちという結果にはならない。

この記事の執筆者が野球中継を見ていた20年以上前の時点では(日本のプロ球界は)すでに打撃重視の野球でした

少年野球とか高校野球はわからないけど、プロの世界では とにかく打撃に強い選手が注目されていた印象。
(出塁率や四球については言及されていなかったけどね)

オークランド・アスレチックスのエピソードで「守備が上手いジョニー・デイモンという選手をよその球団に放出しても大丈夫か?」という話題が書籍で出ていました。
・同じぐらい守備の得意な選手を補強しようとすると無駄な出費につながる
・デーモン並みにセンターを守れる選手は打撃がデーモンより劣るか、よほど年俸が高い
・したがって、デーモンが抜けた穴は打撃陣の強化で埋め合わせる方がいい
・・との結論に達していました。

たしかに、三振をたくさん取れる投手がいるなら守備はやや甘くても大丈夫だし、もし打たれてもセンターに球が来る確率は(雑に計算した場合)1/6~1/8くらい。
※センターに直接球が来る・右中間・左中間・内野手や外野手のカバーなど
それなら打撃に力を注いだ方がいいという結論にも納得できる。

確率論的に見れば その通りかもしれないけど、納得のいっていない選手も多そう‥

野球選手という職業は「やりがい」「夢」の塊のような職業ですしね

事実、アスレチックスのやり方に不満を持つ選手もいるし、納得する選手もいるそうです。
前の方で書いたイチローのように総合的な身体能力が高い+現役の選手ほど不満を持ちそうですね。
※イチロー選手は2019年に引退していますが‥

現役選手で納得しているタイプは「データ重視型」「今まで日の目を見ないで悔しい思いをしてきたタイプ」「個人よりチームに貢献したいタイプ」「アスレチックスやビリー・ビーンに恩がある場合」とかですかね?

個よりチームを優先するスコット・ハッテバーグという選手

個よりチームの勝利を優先するスコット・ハッテバーグという選手が紹介されていました。

この選手の特徴は‥

・別球団の捕手だったが利き腕の肘の神経断裂により球が投げられなくなった
・アスレチックスに移籍してからは一塁手を任される
・ホームラン打者ではないが、球をバットに当てるのが上手い→動体視力が良い?
・打撃スタイルは「球を見極める&粘る・四球が多い・きわどい球で盆フライやゴロアウトになるくらいなら三振の方がマシ・初球を打って ぼてぼてのゴロアウトになるのが嫌い」
・たとえストライクだろうと、自分が不得意な球に手を出す打者は生き残れないと肝に銘じている
・本人もこう言っている「もし俺がバットをただ振り回すだけの選手だったら、メジャーに入る遥か前に淘汰されてしまったと思う」と
・それぞれの投手について自分は どの球が打てるか調べ、その球が来るのを待つ訓練をしていた
・「自分は何ができるか?」だけでなく「何ができないのか?」を頭に入れた→打てない球はどれなのか?
・以前在籍していたレッドソックス球団では、そんなハッテバーグのやり方を歓迎していなかった→積極性がないという理由
・他の特徴としては、話好き(人と会話することで調子が上がるタイプ)
自分が活躍するより、チームの勝利を優先する
・20連勝がかかった大事な試合で代打に呼ばれて、最後にホームランを打つ
その時に「おれは やったぞ!」ではなく「おれたち やったぞ!」と喜ぶ

書籍をここまで読んでいる人なら分かるけど、(本人が目立つ活躍はできないかもしれないけど)ハッテバーグのやり方のほうがチームの勝利には貢献できるよね

野球に限らずですが、
チーム全体のために行動して裏では結果も残しているのに評価されないのはキツイですよね
(書籍内で本人も漏らしていましたが‥)

まぁ、だからアスレチックスのビリー・ビーンに目を付けられて安く雇われたわけですが‥(^^;)

もう1つ疑問なのは、
ハッテバーグの「初球を見送る・苦手な球には手を出さない・苦手な球を打ってアウトになるくらいなら三振の方がマシ」というスタイルを知る投手なら苦手コースに投げつづけるという対策を取れますよね?
おそらく、上記のスタイルを取るような投手ならハッテバーグもファールにして粘るか、苦手コースに来るのがわかっているなら打ちに行くんでしょうけど‥。

米国のプロ球団には、打者個々の得意・苦手を研究する投手(捕手?)や投手コーチはいない感じなんでしょうかね?
※アスレチックスでは投手や打者をすべて記録(撮影)していて、選手個人が自分や敵のプレーをみて研究していました

名打者であるハッテバーグの苦手な投手とは?

絶妙なコントロールと打者心理を読むテクニックで生き延びている40歳のベテラン名投手「ジェイミー・モイヤー」という人物が紹介されていました。投手板のハッテバーグと言われています。

・モイヤーは元剛腕(速球が得意?)投手だったが、ケガをして変化球投手に転向した
・モイヤーは130kmほどのストレートと、110kmほどのチェンジアップ、ゆるいカーブが武器
・110kmのチェンジアップを織り交ぜるため、130km級の直球でいつも打者を詰まらせる
・ゆるいカーブ、さらにゆるいチェンジアップを効果的に間に挟めるせいで打者にとっては直球が150km台に見える
もし、モイヤーが名前を隠してプロ球団の入団テストを受けたら受からないと言われていた→プロテストは球速が大事?
打者を撹乱する術を身につけていれば、速球のスピードは重要ではない

書籍内ではハッテバーグ(左打者)が、対戦予定のモイヤーについて研究している様子が描かれています。
モイヤーが左打者に対して、どのような球種や手順を使って打者を打ちとってくるのか?ヤンキースの左打者vsモイヤー戦のビデオを見ながら研究。
特定の球種パターンはないか?特定のカウントで特定の球種を投げていないか?など探すが、モイヤーはワザと複雑に色んな球を織り交ぜているので見つからない。

モイヤーはハッテバーグ並みに打者心理を読むのに長けているので(向こうもハッテバーグが初球を見送る・苦手なコースには手を出さないことなどを知っている)、裏のまた裏をかく心理戦という感じです。

スポーツの心理戦はアツイよね

関係ないですが‥
球のコースとか球種って捕手が指示をしていると思ったんですが、投手が考えて投げているんですかね?(もちろん球団の方針にもよるんでしょうけど)

余談:ビリー・ビーンのクズっぷりが描かれている?

・アスレチックスにはビリー・ビーン方式では、もうすでに使い物にならないマイク・マグナンテという投手がいる
・しかし、ビリーは他球団のリカルド・リンコンという投手が欲しい
・リンコン投手は他の球団も狙っている
・リンコンの契約金は最低でも50万8000ドル、これだとアスレチックスのオーナーは承諾しない
・そこでビリーは自球団の若いが使い物にならないベナフロという投手をリンコンを狙っている球団に売り付けたいと考える
・若い選手なら他の球団も興味を示すのではないかと考えた、同時にベナフロに支払っていた給料が浮く
・別の案ではベナフロをトレードして、さらに金をもらう案を出してみたり

史実なのか不明だけど「貧乏人にガラクタを押し付けるとするか‥」とビリーは書籍で言っているし、クズっぷりが凄い・・

それにしてもビリーが目利き?であることは球団間で知れ渡っているので、トレード交渉するときも当然他球団は怪しみますよね

さらに即時にマグナンテを解雇すれば 残りの給料(年俸?)も浮くと考えるビリー。
メジャーリーガー契約の仕組みがどうなっているか分からないですが、選手の承諾なしにトレードなんてできるんですね(^^;)→年契約じゃないのか‥?

選手のトレードは株取引と似たようなものだなぁと、この記事の執筆者は考えていましたが、こんな違いがある↓

株式の取引と生身の人間の取引とに突然大きな違いが明らかになった。
人間相手の場合、気まずさがつきまとう。だがビリーは人情に左右されない。
選手をチェスのコマのように考えることができる、でなければ有利なトレードなど望めない。

マネー・ボールより

米国のルールではメジャーでキャリアを10年積めば、年金の資格が得られるそうです。
ちなみにアスレチックス(ビリー、正確にはアスレチックスの監督)がマグナンテに解雇を言い渡したのは、あと4日でキャリア10年となる時でした。
マグナンテは37歳+成績不振だったので、おそらく、これでメジャー生活も終わりという状態。

ビリーは冷酷なゼネラルマネージャーでもありますが、仕事へかける情熱もすごいです。
前述のリンコンを獲得して、来年2倍の値段で他球団に売り払えなかったら自分が責任を取る(損失分を自分が補填する)から金を出してくれとアスレチックスのオーナーに掛け合っていました。
※ちなみにビリーの年収は当時の額で40万ドル(現在の1ドル150円の計算なら年収6000万円という感じ)、リンコン獲得に必要な金額は50万ドル強です

ビリーは雇われの立場なのに、ここまでリスクを取れるのが凄いよね

しかも、試合開始の数分前にリンコンを獲得しベンチ入りさせ、マグナンテを球団から追い出すところまでやってますし

いや、本当に米国のメジャーリーグ契約とかどうなってるんだろう?(^^;)

それにしても、なぜアスレチックはいつまでも貧乏球団なんだろう?という疑問もあります。
ヤンキースなどのトップ球団には及ばないんでしょうけど、それなりに上位にいるならファンも付くだろうし、徐々に資金も増えていくのでは?という疑問。オーナーがケチってる?

アスレチックスが獲得した最高の投手「チャド・ブラッドフォード」とは?

優れた投手とはアウトを取る投手を指し、「どうやってアウトを取るかは問題ではない」と書籍に書かれています。
・アウトを取るということの商売は実に不可思議
・肉体が重要だが、一方で「頭」も重要になる
・前述している打者心理を読むのが上手いジェイミー・モイヤーのように
・あるアスレチックスの投手は、カーブの投げ方に磨きをかけてストレートと見分けがつかないフォームで投げられるようになった→打者を打ち取れる確率が上がる
・頭を使った こういう工夫は肉体的な能力向上と同じぐらい効果を発揮する

しかし、今回紹介するチャド・ブラッドフォードの場合は半自然に身に付いた特殊な投げ方(サブマリン投法)で打者をバタバタ打ち取るような人物です。
※ブラッドフォードは学生時代、指導者に少し投げ方のアドバイスをもらっていますが、より強化されたのはその時々の「運」といった感じで書籍内では描かれています
※サブマリン投法とは、下から投げる投法でアンダースローとも呼ばれている

チャド・ブラッドフォードという人物の概要↓

・ブラッドフォードの父親は病気の影響で利き腕が肩からうえに上げられない人物だった
・なので息子とキャッチボールはできたが、アンダースローで投げ返していた
・ブラッドフォードは幼い頃、ショートの守備位置を望んでいたがピッチャーをやりたいと転向
・高校生のころのブラッドフォードはパッとしない投手だった
・ストレートは走らない、カーブの切れもない、球は止まってみえるという感じ
・ただし、コントロールは良い方だった
・高校時代の監督にサイドスロー(腕が2時の方向)で投げてみるようにアドバイスされ、ストレートに伸びが出た
・サイドスローを覚えてから父親とキャッチボールをすると、捕球できないほどの球の速さに驚く父親
・大学入学後は まずまずの出来だったが、将来性を見抜く者は少数だった
・ブラッドフォードはピッチャーを続けるうちに投球時の腕が下がって行った(2時方向→3時方向)
・腕が下がれば下がるほど球に切れが出て、打者をたくさん打ちとれた
・次第にブラッドフォードの腕はサイドスローからアンダースローへと自然に変わる
・その時の球速は130~135km(プロとしては遅いレベル)
・しかし、アンダースローになったことで手からボールが離れる距離とキャッチャーミットの距離が狭まって、135kmのストレートがオーバースローの150kmに見えるという
・ブラッドフォードの変化球シンカーはテニスでいうトップスピンがかかった状態に変化した
・スライダーも左打者に当たりそうに見えるが、実際はホームプレート近くで外角へそれて沈む
・打者は このような打ちにくい球をバットでとらえるのは難しい
・バットに当ててもゴロになってしまう、ゴロだとホームランにはならない
・打者からブラッドフォードの評価は「打ちにくい」「球筋が読みにくい」などだった
・アンダースローになってからは防御率もアップ
・つまり、どんな形であれアウトを取れる最高のピッチャーということ
・ブラッドフォードは、この活躍を続けていればメジャーで活躍できると思っていた
・しかし、メジャーリーグはバイアス(思い込み)が強いところ
成績を残していても「遅いストレート」と「(当時としては)変な投げ方」で各球団と、のちに所属するマイナーリーグでも評価されなかった
・自分より成績が悪い投手が続々と1軍(メジャー)に上がっていくのを指をくわえて見ているしかなかった
・そんなブラッドフォードに目を付けたアスレチックスがブラッドフォードを拾い、自軍で大活躍させる

※自身も分からなかったので調べてみましたが、メジャーリーグは日本のプロ野球と違って、1軍や2軍のような名称ではないそうです。一応、わかりやすくするために1軍と上記に書きましたが‥。
メジャー>3A>2A>1A…と、その後ろにさらに3~4つ以上の分類があるといいます(書籍内ではメジャーから1Aまでが頻繁に出てきます)。3Aから下はマイナーリーグと呼びます

https://pyrus-academy.com/posts+wp_post_r0i2VFVX/minor-league-baseball

成績・結果を残しても評価されないって、野球以外でも見かけますが本人からしたらキツイですよね‥

内容は神のように面白いのに、絵柄が「今風」じゃないために評価されていないマンガをみてるみたいで世に溢れている事案

本当に意味のあるデータとは「与四球」「被本塁打」「奪三振」などだ。
そういう数字を信頼することで、選手の外見や投球フォームといった主観的要素に惑わされずに済む。
客観的に すでにあげた実績に基づいて、投手の能力を査定できる。

マネー・ボールより

※与四球と被本塁打はピッチャーの責任で、奪三振はピッチャーの手柄ということ(キャッチャーの責任手柄は?という疑問はありますが‥)
※ちなみに1塁打~3塁打は野手のエラーということもあり得るので、上記3つで判断すると書かれています

ブラッドフォードは打ちにくいのに加えて、ゴロを打たせるのが上手いピッチャー。
ゴロならフェンス越えしないのはもちろん、二塁や三塁打にもなりにくい。つまりアスレチックスの評価基準では かなり良選手となる。
チャド・ブラッドフォードのような打者を打ち取れる、ちょっと特異の投手がメジャーに昇格しなかった理由は、前例がないからだと書籍内で指摘されていました。

パワプロのゲームでもアンダースロー投手は球が遅くみえて使い控えていました、マジですいません‥

この記事の執筆者は、この教訓を生かして見かけに騙されない努力をしようと思います(^^;)できるだけ‥

そのほか、書籍で印象に残っている箇所など

書籍で印象に残っている箇所を選んで自分の意見や感想を書いています。

ゲームは負けている方が有利?

野球の世界にはバランス原理が働くのだという。
この世にはマイナス方向の力が存在して、強いチームと弱いチーム、先制したチームと追いかけるチーム、優れた選手と劣った選手の格差を訂正する。
長所はすべからく、短所を隠すと同時に別の短所を生み出す、よって長所とは短所であり短所とは長所である。
戦略はバランスからいって、追いかけるチームに常に有利に作用する。
心理的には勝っているものが押し下げられ、負けているものは 押し上げられる。

マネー・ボールより

スポーツ系・バトル系・対戦型ゲームなどの漫画をみてると、ゲームには「流れ」が存在していて、その流れを操れる者が有利だと言われているけど・・うーん、本当かなぁ?

この記事の執筆者はメンタルが強い方ではないので、不利な状況になってきたら気持ちが沈んできて、気付いたら負けていたという経験はあるかも‥(^^;)悪い流れに飲まれたせいで記憶がなかったり。
悪い流れを断ち切って好転させた経験がないので、マンガでよくある流れを変えるというのがあまり信じられないですね。
※(滅多に怒らないことですが‥)相手がミス連発で自滅して流れがこちらに来るとかなら、なんとなく想像できますが それ以外では信じられない

ビリーの頑張りに気づく人はいるのだろうか?

資金が乏しい この球団を精いっぱい効率的に運営しているのに、なぜ誰も気づいてくれないのか?

マネー・ボールより

・・と、冷静な判断力を持つがキレやすくもあるビリーが上記のように漏らしています(史実なのかは不明ですが)。
ビリーのアスレチックスでの功績を評価して、「もっと良い給料で他球団のゼネラルマネージャーにならないか?」というオファーが来たが、ビリーは最後の最後で断った。

理由はビリーが学生時代のころ、プロ入りするかどうか決めるときに金のために誤った選択をした経験からだそうです。ビリーはプロ野球選手には向いていないと、後に自覚する。
その時の後悔から、二度と金によって人生を左右されまいと心に決めたと書籍内で言っています。

アスレチックスのオーナーもビリーを引き留めたような描写は特になかったし、ビリーを重宝していなさそうだったね

ビリーの選手選抜の思考、切り捨て、選手のトレード交渉を見てると確かにクズっぽい。
しかし、チームに貢献していて才能もあるのに、日の目を見させてもらえない選手にとってはビリーは有難い存在。
これら選手の「結果を出しているのに評価してもらえない」が、ビリーにも降りかかっているのが また何とも面白い。

「自分が球団のオーナーになる=頑張りが認められる?」という選択肢は当然ビリーも考えついているでしょうけど、ゼネラルマネージャーの立場で選手の売買をしているのが多分生きがいなんでしょうね

前の方でも触れていますが、アスレチックスは そこそこの成果を出しているのに、なぜいつまでも貧乏球団なのかが疑問ですね(やっぱりオーナーが利益を独り占めしてるから?)。

旧来の野球人(保守派)vs新しいやり方の野球人(革新派)

・この職には「どんな能力が相応しいか?」といった尺度を明確にしたいと思う人は誰一人いない
・社交クラブ(保守派)に対する忠誠心以外に新たな物差しを検討し始めたら、既存の会員全ての地位が危うくなってきてしまう
・片側に陣取るのは新しいやり方の野球人(革新派・ビリーのような人達や野球ファン)の集まり、データの活用や悪用についての知恵をしぼる
・一方、反対側には社交クラブの会員たち、地位を守らなければという思いが心の奥底に芽生えて、浅はかな 疑問や侮辱を革新派に盛んに投げつける
※書籍内では旧来の野球人たち(保守派・古い価値観を重んじる人々)のことを「社交クラブの会員」と表現しています

元野球選手のレジェンド、イチロー選手も旧来の野球人っぽい思考をしている所が またなんとも・・
イチロー選手はマネージャーの立場ではないから当然といえば当然だけど・・

これらは野球界隈だけじゃなくて、ありふれた話ですよね‥
イラスト界隈(生成AI推進派と反対派)でも同じことが起きてますし

ちなみに、この「マネー・ボール」という書籍が発売されて、書籍を読んだ旧来の野球人(旧来野球の価値観を持っているファンや記者、解説者など含めて)が大激怒したそうです。
そして、なぜか書籍の執筆者ではなく、ビリーに批判が行ったのだとか‥(^^;)
データを操作して選手の価値を釣り上げて、他球団に選手を高値で売りつけたりしていたわけですから当然といえば当然ですが。

アスレチックスは資金力の乏しい球団だということを考えれば、個人的には仕方ない手法だとは思いますけどね。
・試合に勝ちたいが金がない=良い選手を獲得できない
・金をかけずに試合に勝つ方法は、過小評価されていて安い選手を獲得すること
・実際の価値よりも高い値段のつく選手がいれば売りに出すこと
・データ分析で明らかになった「出塁率・盗塁やバントをしない・守備より攻撃重視」などを淡々と実行する

球団間で「資金力の差=不公平」がある以上はね‥

反対に、野球とは関係ない界隈から「感動しました!」「新しいアイデアをもらいました!」との連絡も入ったのだとか↓

アスレチックスのフロントには、米国内のありとあらゆる業界やスポーツ団体から連絡が入った。

ナショナルホッケーリーグ、ナショナルフットボールリーグ、ナショナルバスケットボール協会の各チーム 、ウォール街の投資会社、フォーチュン500に名を連ねる大企業、ハリウッドの映画製作スタジオ、大学や高校の野球大会の関係者、さらにはホットドッグ屋のチェーンを経営する男からもアスレチックスのフロント内でやっている実験は私のビジネスの参考になったという電話があった。
(中略)
アメリカ会社のいたるところに同様の非効率な状況があり、なんとかしなければいけないと躍起になってる人たちがいるらしかった
そして、アスレチックスの戦略がそういった人々に ひらめきを与えたのだ。
学ぶことなど何一つないと高をくくっていたのはメジャーリーグの他球団だけだった

マネー・ボールより

野球と関係ない業界だから すんなり受け入れられたのかな?と思いましたが、大学や高校の野球関係者からも参考になったと連絡が入っているのだから、この拒否反応はメジャーリーグ独特のものなんですね

マネー・ボールの筆者からも、こんなことが書かれています↓

いや その通り、学ぶことなど何もなかった。
メジャーリーグの球団はビジネスではなく、社交クラブなのだから。
ビジネスであれば、効率に秀でたライバルがもし商売の秘訣を打ち明けてくれたら大喜びだろう。
眉唾ものだと感じていたノウハウ(本書)を手に取り、中身をのぞいてチェックするはずだ。
多少は検討してみるに違いない。
ところがベースボールでは違う。
ベースボールの世界では誰もが激怒した。

イラスト界隈(生成AI関連)で指摘されている内容がまんま書かれていて、これらはとても理解しやすかったですね(^^;)

ビリー方式に触発された球団の改革

・何より大きな問題はプライドも給料も高い選手を快く引き取ってくれるチームをどうやって見つけるかだった
・アスレチックスに習い、これらの選手を入れ替え
・ブルージェイズという球団は一夜にして、高給取りのくせに成績が見合わない選手の集まった不名誉なグループから希望に満ちたチームへと生まれ変わった
・選手たちは以前より若くて安くて、しかも優れていた
・球団経営の決定権を持つ人々の多くは、旧来野球人と同じような思考回路の持ち主だ
・だからこそ現実のグランド上では、金のない球団がたくさんの勝ち星をあげることができる

野球と関係ない色んな会社が若い人材を取りたがる理由がなんとなくわかる気がする‥

ちなみに書籍発売後しばらく、アスレチックス方式を採用した球団が増えたため、一時期アスレチックスは試合で勝てなくなったそうです

勝てない時期を得て、また戦略を立て直して勝ち星をたくさん上げたアスレチックス。
ビリーの運営手腕も凄いですね(^^)

最後はこのように締めくくられています↓

オークランド・アスレチックスでゼネラルマネージャーを務めるビリー・ビーンは、若いころ並外れた身体能力に恵まれていた。
彼は期待の大型新人としてもてはやされ、プロ入りするものの成績を残せないまま引退してしまう。
なぜ自分はダメだったのか?本当に花咲く野球選手とはどういう人間なのか?
金づる球団では日の当たらない、しかし優れた選手をかき集め、一丸となって弱者の逆襲を目指していく。

この記事の執筆者は各スポーツに特別詳しいわけではありませんが、スケート・スキー・バレー・野球などでもビリーみたいな能力は高いのにイマイチ活躍できない選手を見てきました。

本当に本人の生まれつきの身体能力だけではダメなんだ‥というのがわかりました。
メンタルの重要性を結構甘くみてました。
ただ、メンタルも生まれつきの才能みたいなもので、鍛えるのが中々難しい。

この記事の執筆者のようなメンタル弱者は、どうやって逆襲したらいいのか?(T_T)

まとめ:弱者が強者に勝利するための一例

・感情論よりデータを見る、ハロー効果に騙されるな!
・最重要なデータ(値)を見つけ出す
・統計学を多少でも理解していると人生でも役立ちそう
・アプリゲームと違って、リアルな野球は選手を盤上の駒のように動かせない
・保守派と革新派の争いは どこの世界でも起きている
非効率な戦略をする人や集団がいるから弱者でも勝ちに行ける
・スポーツによっては能力よりメンタルが重要なこともある

結構長めの書籍でしたが、面白かったです(^^)
マネー・ボールは映画にもなっているのだとか↓

統計学やメンタルの重要性もわかりましたし。
何より弱者でも強者に勝てる可能性があるという希望が持てました。

まぁ、この記事の執筆者はメンタルがよわよわなので、また別の戦略を取らなければならないわけですが‥(^^;)

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